アデノウイルスを用いてActivin Bを過剰発現させたC57BL/6Jマウスにおける検討では、Activin B過剰発現マウスではコントロールマウスに比べ、ブドウ糖負荷試験における耐糖能が改善しているという結果を得ていた。その一因として、Activin Bは糖新生抑制を有するという仮説を立て、そのメカニズムを検討してきた。 また、Activin B の耐糖能改善作用の他のメカニズムとして、我々はFGF21の関与を見出した。FGF21は肝臓などで発現していて、糖代謝異常を改善したり、抗肥満作用を有する可能性をもつと考えられている因子である。Activin Bを過剰発現させたC57BL/6Jマウスの肝臓ではFGF21のmRNAの発現が上昇していた。またこのマウスではFGF21の血中濃度も上昇していた。我々はActivin Bの耐糖能改善の一因としてFGF21の発現上昇が関与していると考えた。 Activin Bホモ欠損マウスの肝臓では、空腹時のFGF21のmRNAの発現は、C57BL/6Jマウスの空腹時のmRNAの発現に比べ有意に低下していた。またActivin Bホモ欠損マウスでは空腹時のFGF21の血中濃度もC57BL/6Jマウスに比べ有意に低下していた。このことから、Activin BはFGF21誘導作用に関与していることが示唆された。FGF21上昇作用はPPARαを介するとの既報がある。しかしActivin BのFGF21の発現上昇作用においては、PPARαを介さない経路を有することを示した。 引き続き、培養細胞実験にて、Activin BによるFGF21産生調節のメカニズムを検討している。
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