加齢に伴う脂肪組織の機能変容に及ぼす細胞間相互作用の分子機構の解明

2019 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 18K08508
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 田中 都 名古屋大学, 環境医学研究所, 講師 (60622793)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2021-03-31
• キーワード: 慢性炎症 / 加齢 / inflammaging

研究実績の概要

加齢に伴う脂肪組織の機能変容に及ぼす細胞間相互作用の分子機構の解明を目的として，本年度，以下の検討を行った。
1）加齢に伴う脂肪組織の機能変容に及ぼす細胞・分子の同定
昨年度実施した若齢および加齢マウスの内臓脂肪組織，皮下脂肪組織，それらの間質細胞およびPDGFRα陽性細胞（脂肪前駆細胞）のマイクロアレイ解析結果より，加齢マウスの皮下脂肪特異的に発現が亢進する分子，あるいは，加齢マウスの内臓脂肪特異的に発現が亢進する分子などを選定した。
2）脂肪組織リモデリングに着目した介入方法の開発
新たにDTAマウス（Cre依存的にジフテリアトキシン受容体サブユニットA）を発現するマウスを入手し，Col1a1-Cre[ERT2]マウス（コラーゲン発現細胞の系譜追跡）、PDGFRα－Cre[ERT2]マウス（PDGFRα発現細胞の系譜追跡）、CX3CR1-Cre[ERT2]マウス（CX3CR1発現細胞の系譜追跡）と交配し，様々な系統のマウスを作出し，実験条件を検討した。また，カロリー制限実験により得られた脂肪組織についてRNA sequence解析を行い，脂肪組織リモデリングに伴い変動する遺伝子の抽出作業を行っている。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画以外のマウスを作出しているため，使用条件設定は定まっていないが，その他は概ね順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

昨年度得られたマイクロアレイ解析結果ならびに今年度得られたRNA sequence解析結果から，加齢あるいはリバウンドに伴う脂肪組織機能に及ぼす分子を抽出し，次の展開に繋げる。

次年度使用額が生じた理由

（理由）
マイクロアレイ解析など，dryでの仕事が多かったため，次年度使用額が生じた。
（使用計画）
選定した分子に着目したマウス作出，解析に次年度使用額を充てる予定である。

研究成果

• [雑誌論文] Ubiquitination of DNA Damage-Stalled RNAPII Promotes Transcription-Coupled Repair (2020)
  • 著者名/発表者名: Nakazawa Y, Hara Y, Oka Y, Komine O, van den Heuvel D, Guo C, Daigaku Y, Isono M, He Y, Shimada M, Kato K, Jia N, Hashimoto S, Kotani Y, Miyoshi Y, Tanaka M, Sobue A, Mitsutake N, Suganami T, Masuda A, Ohno K, Nakada S, Mashimo T, Yamanaka K, Luijsterburg M. S., Ogi T
  • 雑誌名: Cell 巻: 180 ページ: 1228～1244.e24
  • DOI: 10.1016/j.cell.2020.02.010
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Dipeptidyl peptidase-4 inhibition prevents nonalcoholic steatohepatitis?associated liver fibrosis and tumor development in mice independently of its anti-diabetic effects (2020)
  • 著者名/発表者名: Kawakubo M, Tanaka M, Ochi K, Watanabe A, Saka-Tanaka M, Kanamori Y, Yoshioka N, Yamashita S, Goto M, Itoh M, Shirakawa I, Kanai S, Suzuki H, Sawada M, Ito A, Ishigami M, Fujishiro M, Arima H, Ogawa Y, Suganami T
  • 雑誌名: Scientific Reports 巻: 10 ページ: 983
  • DOI: 10.1038/s41598-020-57935-6
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Molecular mechanism of obesity-induced adipose tissue inflammation; the role of Mincle in adipose tissue fibrosis and ectopic lipid accumulation (2020)
  • 著者名/発表者名: Tanaka Miyako
  • 雑誌名: Endocrine Journal 巻: 67 ページ: 107～111
  • DOI: 10.1507/endocrj.EJ19-0417
  • 査読あり
• [学会発表] C-type lectin Mincle mediates cell death-triggered sustained inflammation after acute kidney injury in mice (2020)
  • 著者名/発表者名: Miyako Tanaka, Marie Saka-Tanaka, Kozue Ochi, Kumiko Fujieda, Hiro Ishihara, Naotake Tsuboi, Shoichi Maruyama, Yoshihiro Ogawa, Takayoshi Suganami
  • 学会等名: 2020 Keystone Symposia for the meeting on Fibrosis and Tissue Repair: From Molecules and Mechanics to Therapeutic Approaches
  • 国際学会
• [学会発表] C-type lectin Mincle mediates cell death-triggered sustained inflammation (2020)
  • 著者名/発表者名: Miyako Tanaka，Yoshihiro Ogawa，Takayoshi Suganami
  • 学会等名: 第97回日本生理学会大会
  • 招待講演
• [学会発表] 新規死細胞センサー Mincleを介するマクロファージ・死細胞ネットワークと炎症遷延化機構 (2019)
  • 著者名/発表者名: 田中 都，小川佳宏，菅波孝祥
  • 学会等名: 第42回日本分子生物学会年会
  • 招待講演
• [学会発表] 新規死細胞センサーMincleの可能性を探る (2019)
  • 著者名/発表者名: 田中 都，小川佳宏，菅波孝祥
  • 学会等名: 第37回内分泌代謝学サマーセミナー
  • 招待講演
• [学会発表] 細胞間クロストーク・臓器間ネットワークに着目した肥満・糖尿病の病態解明 (2019)
  • 著者名/発表者名: 田中 都
  • 学会等名: 第92回日本内分泌学会学術総会
  • 招待講演