研究実績の概要 |
これまでに、35歳未満での若年発症糖尿病患者(自己免疫性1型糖尿病を除く)54名および、その親族のDNA検体を採取した(2018年度も7名およびその親族の検体を採取した)。 このうち、30歳未満発症・肥満歴無しの患者を優先して解析することとした。 まず、既知MODY(家族族性若年性糖尿病)の原因変異(HNF4A, GCK, HNF1A, PDX1, HNF1B, NEUROD1遺伝子変異)をサンガーシーケンスにて検討した。サンガーシーケンスにてMODYと診断された例については症例報告をすでに論文化している。そして、原因変異が存在しない11名につき、全エクソンシーケンスを行った。 そして、ゲノムデータベース(1000 genomes, Human Genetic Variation Database 双方)にてアレル頻度が0.01未満であり、in silico解析にて疾患発症原因となる可能性が高い変異(SNPEff; HIGH or MODERATE かつ CADD [Combined Annotation Dependent Depletion] score [PHRED] 20以上)を抽出した。 結果、単一遺伝子糖尿病との関連が知られている35遺伝子に、計5個の変異が3名に見いだされた(患者1; WFS1遺伝子K193del変異, 患者2; X遺伝子変異[転写因子], 患者3; HNF1A遺伝子G191D変異, GLIS3遺伝子Q450H変異, CFTR遺伝子A399V変異 いずれもHeterozygote)。うち2つ(WFS1遺伝子変異, X遺伝子変異)については、家系の若年発症糖尿病患者において同一変異が共有されていることなどから、変異が患者において糖尿病発症原因となっている可能性が示唆された。 新規の単一遺伝子糖尿病原因変異の同定につながる可能性がある成果であると考える。
|