研究実績の概要 |
35歳未満での若年発症糖尿病患者につき、DNA検体および臨床情報を収集した。このうち、30歳未満発症で肥満歴がない、13名の全エクソンシーケンス[WES]を行った。この13名には既知の家族性若年糖尿病[MODY]原因変異が存在しないことが確認済みである。 WESのデータから、データベース(1000 genomesおよび Human Genetic Variation Database双方)におけるアレル頻度が0.01未満であり、in silico解析にて疾患発症原因となる可能性が高い変異(SNPEffにてHIGHまたは MODERATEであり、かつ CADD[Combined Annotation Dependent Depletion]にてPHRED scoreが20以上)を抽出した。結果、単一遺伝子糖尿病との関連が知られている35遺伝子に、計6個の変異が4名に見いだされた(患者1; WFS1遺伝子K193del変異, 患者2; PTF1A遺伝子変異S18F変異, 患者3; HNF1A遺伝子G191D変異, GLIS3遺伝子Q450H変異, CFTR遺伝子A399V変異, 患者4; PPARG遺伝子Y173fs変異 いずれもHeterozygote)。うちPTF1A遺伝子変異S18F変異は、患者2および、同じく若年発症糖尿病に罹患した血縁者2名に共有されており、変異が発症原因である可能性が強く示唆された。このため、同変異がPTF1Aの転写活性に与える影響をin vitroで検討すべく、レポーターアッセイに用いるベクターを海外の研究者から譲受し、細胞を用いた検討を開始した。 また、前述以外にも、35歳未満での若年発症糖尿病患者で既知MODY原因変異のない19名のWESが完了しており、前述の13名とあわせ計32名がシーケンス済みであり、現在データの分析中である。
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