研究実績の概要 |
A) 膵β細胞化に適した候補細胞の探求 前年度までに、MafA, Pdx1, Neurog3を同時に、Sox9-CreERマウスを用いて膵導管上皮細胞へ、Elastase-CreERを用いて膵腺房細胞へ発現させ、豊富なインスリン発現を有する細胞を作製することには成功したが、グルコース応答性インスリン分泌能が低いことが判明した。これらは転写因子の異所性発現1週間程度での評価であり、長期での評価が必要と判断したが、Elastase-CreERマウスではタモキシフェン投与後1週間~10日以内に衰弱死することが明らかとなった。Sox9遺伝子の下流にIRESを用いてCreERを発現するSox9-CreERマウスでは1か月以上の生存が可能であり、Elastase遺伝子の下流にIRESを用いてCreERを発現するElastase-CreERノックインマウスを新たに作製し、同マウス用いた系での長期的評価を実施している。
B) Pdx1先行発現誘導による膵β細胞化効率の増大への試み 膵β細胞分化過程を再現することにより膵β細胞化を効率的に誘導することが可能かを検討すべく、Dre/roxとCre/loxP両システムを連動させた系により、膵β細胞への分化過程通りPdx1を組織特異的に先行発現誘導し、同時に発現誘導したCreERを利用してNgn3、MafAを任意の時期に発現させ得るマウスモデルの構築を目指している。 同コンストラクトの作製を終了しており、Dre recombinase発現下でのみリバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子rtTAが発現誘導するコンストラクトであり、Doxycyclin投与下にPdx1-flagとCreERとを発現誘導し得ることを確認した。現在、かずさ研究所・理化学研究所との共同研究として、同コンストラクトを利用し、ノックインマウスの作製中である。
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