研究課題/領域番号 |
18K08518
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
村尾 孝児 香川大学, 医学部, 教授 (20291982)
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研究分担者 |
井町 仁美 香川大学, 医学部, 准教授 (80380187)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | HDL / insulin / ABCA1 / PREB |
研究実績の概要 |
我々は、基礎的な研究として脂質代謝、特にHDL代謝の研究を行ってきた。HDLは細胞より余剰のコレステロールを引き抜き、肝臓へ転送するコレステロール逆転系を仲介している。これまでに我々は、HDL代謝、特にABCA1遺伝子発現と脂肪毒性が膵β細胞に及ぼす影響について、特に細胞内情報伝達系に焦点をあて網羅的に検討してきた。 TNF-αによる様々な細胞内情報伝達系の網羅的な解析を行うことで、細胞内情報伝達系P38-MAPKγを同定した。TNF-α―P38-MAPKγの活性化は、コレステロール排出分子であるABCA1発現を抑制することで膵β細胞に脂肪毒性を誘導すること発見した。Angiotensin IIは膵β細胞からのインスリン分泌を抑制することが報告されているが、その原因として膵β細胞の脂肪毒性が関与することを見出した。Angiotensin IIはAT1受容体を介してPI3K/Akt/FoxO1の細胞内情報伝達系カスケードを介してABCA1発現を抑制することを明らかにした。そこでAT1受容体阻害薬が膵β細胞の脂肪毒性を解除する可能性について報告した。また膵β細胞における脂肪毒性を解除する機序としてABCA1遺伝子発現誘導をおこなう新規転写因子prolactin regulatory element binding (PREB)を同定した。転写因子PREBは、膵β細胞において非常に強い発現を認めインスリン遺伝子やグルコキナーゼ遺伝子のプロモーターに特異的なDNA結合配列を認め,ABCA1遺伝子プロモーターにも存在する。PREBはABCA1プロモーター領域に結合し、ABCA1を誘導し、細胞内のコレステロール量を減量し、glucose-dependent insulin secretionを改善することを報告した(Mol Metab. 2020 Apr;34:16-26)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膵β細胞における脂肪毒性を解除する機序としてABCA1遺伝子発現誘導をおこなう新規転写因子prolactin regulatory element binding (PREB)を同定した。転写因子PREBは、膵β細胞において非常に強い発現を認めインスリン遺伝子やグルコキナーゼ遺伝子のプロモーターに特異的なDNA結合配列を認め,ABCA1遺伝子プロモーターにも存在する。PREBはABCA1プロモーター領域に結合し、ABCA1を誘導し、細胞内のコレステロール量を減量し、glucose-dependent insulin secretionを改善することを報告した(Mol Metab. 2020 Apr;34:16-26)。
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今後の研究の推進方策 |
我々は、基礎的な研究として脂質代謝、特にHDL代謝の研究を行ってきた。HDLは細胞より余剰のコレステロールを引き抜き、肝臓へ転送するコレステロール逆転系を仲介している。さまざまな細胞にはコレステロールを引き抜くABCA1遺伝子が発現しているが、コレステロールの引き抜きによる細胞内コレステロール含量の調節をおこなっている。膵β細胞においては、コレステロール含量が増加することでグルコース依存性インスリン分泌が障害されることが判明した。本実験の特徴は、膵β細胞のコレステロール含量を調節するABCA1の発現調節メカニズムを解明し、加えてコレステロール蓄積によるインスリン分泌不全のメカニズムを網羅的に解析し、最終的にはHDL代謝, ABCA1代謝を賦活することによる膵β細胞の脂肪毒性解除の新たな治療ストラテージを確立することにある。具体的な治療方法について研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究実施の一部が必要なくなったため、予定した金額に次年度使用額が生じた。ただ継時的に追加実験が必要ななったため次年度での使用を予定している。
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