研究課題
本研究は中高年の地域一般住民を対象とした九州大学福岡コホート研究の追跡調査(二次調査)で確認された新規糖尿病罹患者と年齢、性別等をマッチさせた対照者に対して、全ゲノム関連解析等で同定された2型糖尿病感受性遺伝子のエピゲノム変化(DNAメチル化)の糖尿病発症への影響を前向きに検討することを目的とする。本年度は引き続き、九州大学福岡コホート研究の追跡調査(二次調査)に協力した11717名を対象に以下の検討を行った。基礎調査時にすでに糖尿病、がん、冠動脈疾患、脳血管障害などに罹患していた者を除外後、診断の基準をHbA1c≧6.5%、もしくは新規の経口血糖降下薬内服やインスリン使用の開始とした場合、新規に糖尿病とされたものは491名であった(平均追跡期間5年)。この新規糖尿病罹患者491名と年齢、性別等をマッチさせた対照者982名を対象として、2型糖尿病感受性遺伝子(TCF7L2、KCNQ1、KCNJ11等)のエピゲノム変化、すなわち主としてプロモーター領域のCpG配列のシトシンメチル化の定量を行った。またさまざまな生活習慣要因、特に喫煙、飲酒、運動習慣など糖尿病のリスク因子とされる生活習慣のエピゲノム変化に対する影響についても検討を行った。新たに検討した2型糖尿病感受性遺伝子の中で1つの遺伝子のプロモーター領域のCpG配列のシトシンメチル化と糖尿病新規罹患との間に弱い関連を認めた。また生活習慣において喫煙(過去および現在の喫煙)ならびに運動習慣と1つの遺伝子のプロモーター領域のCpG配列のシトシンメチル化との間に弱い関連を認めた。
3: やや遅れている
2型糖尿病感受性遺伝子のエピゲノム変化、主としてプロモーター領域のCpG配列のシトシンメチル化の定量を行った。定量に時間を要する遺伝子があったため解析が遅れていた一部の遺伝子については定量方法の改良により進捗は改善した。
引き続き2型糖尿病感受性遺伝子についてエピゲノム変化(すなわち主としてプロモーター領域のCpG配列のシトシンメチル化)の定量解析を継続して行う。
エピゲノム変化の定量に時間を要する遺伝子についての解析を継続し、最終解析を行う予定である。
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