研究課題
本研究の目的は、高度肥満者の内臓脂肪で起きている代謝ネットワークの乱れの原因を分子レベルで解析することである。ヒト内臓脂肪組織にベージュ細胞が存在するかの確認は、遺伝子発現解析や免疫染色の条件を検討したが良好な組織標本が少なく、最終的に遺伝子解析・組織解析ともはっきりした結果は得られなかった。脂肪細胞をベージュ化する因子に関しては、化合物のスクリーニングが進んでおり、現在候補化合物の選定が最終段階に入っているが、本研究期間内にまとまった成果を出すことはできなかった。褐色脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインのひとつであるCXCL-14の血中濃度が、2型糖尿病患者のインスリン抵抗性や肥満度、脂肪肝と関連することを明らかにし、論文報告を行った。また、住民ベースの横断データから成人後の10㎏以上の体重増加はメタボリックシンドロームをはじめとする代謝異常の危険因子であり、体重増加群では非増加群に比べて朝食抜きや活動量不足、不適切な睡眠時間といった好ましくない生活習慣を有していることが分かり論文報告を行った。今回のテーマをヒトの高度肥満者の病態の面からも解析すべく、糖尿病患者を中心にしたデータベースを作成した。全国的な糖尿病患者登録システムからBMI35以上の高度肥満者約1000名を抽出し、標準体重の糖尿病患者とプロペンシティスコアマッチを行い、糖尿病合併症の出現頻度や血糖コントロール、治療内容などを比較している。さらにBMI40以上の超高度肥満者280名に対して、生活習慣や社会背景などについてのアンケート調査を行った。これらの成果は、第42回日本肥満学会と第64回日本糖尿病学会で口演発表済、また予定となっている。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件)
J Med Ultrason (2001)
巻: 48 ページ: 3-12
10.1007/s10396-020-01065-z.
J Diabetes Investig.
巻: 12 ページ: 374-381
10.1111/jdi.13352.
J Hypertens.
巻: 38 ページ: 1149-1157
10.1097/HJH.0000000000002394.
Clin Obes.
巻: 10 ページ: e12409
10.1111/cob.12409.
巻: - ページ: -
10.1111/jdi.13438.
Diabetes Ther.
巻: 12 ページ: 345-361
10.1007/s13300-020-00977-w.
J Endocr Soc.
巻: 5 ページ: byaa176
10.1210/jendso/bvaa176.