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2020 年度 実施状況報告書

膵β細胞内GLP-1/グルコレセプター/KATPクロストークの分子メカニズム解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K08525
研究機関自治医科大学

研究代表者

吉田 昌史  自治医科大学, 医学部, 講師 (50528411)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード糖尿病 / インスリン分泌 / 膵島 / GLP-1 / イメグリミン / GKラット / 膵β細胞 / TRPM2
研究実績の概要

本研究の目的は、膵β細胞KATP非依存性インスリン分泌機構を解明し、2型糖尿病発症初期段階でのインスリン分泌低下機序を示し、その防止法を確立する事で2型糖尿病の発症自体を抑制する事である。我々はtransient receptor potentialチャネル(Trp)を介する新規インスリン分泌経路を発見し、報告してきた(Diabetes.2014)。本研究では、糖尿病モデル動物を用い、糖尿病発症前後でのTrp経路の反応の違いの有無を明らかにすることで、糖尿病発症にTrp経路が影響しているかどうかを検討する。5週齢、8週齢のGKラット、Wistarラット(GK5、GK8、W8)を用いた。
OGTTおよびIns分泌測定にてGK5ではIns第1相分泌は保たれ、GK8では消失していた。Trpm2電流測定では、16.6mMG刺激で、W8・GK5では有意にTrpm2電流が増加したが、GK8では消失していた。Exendin-4刺激、EPAC2A刺激ではGK5、GK8、W8にてTrpm2電流の有意な増加を確認した。本研究ではcADPRを介する経路に着目した。cADPR activator としてImegliminを用いた。Trpm2-KOマウスにおいてImegliminのIns増強反応は消失した)。ImegliminはW8,GK5,GK8においてG濃度依存性にIns第1相分泌を増強した。cADPR inhibitorは、W8,GK5にて、G依存性Ins第1相分泌を抑制した。GK8ではcADPR inhibitorの更なるIns分泌抑制は無かった。
グルコース/cADPR/Trpm2経路 を発見し、GKラットでは本経路の障害によりIns第1相分泌不全が生じることを証明した。Imeglimin は、本経路を介してインスリン分泌を増強することを証明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

COVID-19感染拡大に伴い、臨床業務が増大した点。緊急事態宣言に伴い、研究活動が制限された点。これらにより、当初予定していた実験を計画通りに遂行することが不可能であった。しかしながら、当初予定していなかった新規インスリン分泌経路を発見した点。新規糖尿病薬であるイメグリミンの作用機序を解明した点など、新たな知見が得られた事もあり、総合して「やや遅れている」と判断した。

今後の研究の推進方策

GKラットにおける、グルコース‐TRPM2に至るまでの障害部位・シグナル伝達の解明
各種アクティベータ、インヒビターを用いたインスリン分泌測定、TRPM2電流密度測定を行う。適宜TRPM2-KOマウスを用いた検討を行う。GKラットにて週齢ごとに細胞内cADPR濃度測定を行い、GKラットのTRPM2経路障害とcADPRの関連を明らかにする。cADPRアクティベータとして新規糖尿病薬イメグリミンを用いる。我々は予備的検討にてイメグリミンがcADPRを介してTRPM2を開口させることを証明している。
適宜細胞内Ca2+測定、膵島還流、膵島mRNA・タンパク発現実験を実施する。A,B実験の結果、GKラットでの第1相インスリン分泌低下機序、障害部位が同定され、同部位に作用する薬剤が明らかとなれば、発症前のGKラットに同薬剤を投与し、TRPM2機能異常や第1相インスリン分泌低下の抑制、糖尿病発症抑制が実現できるかの検討も実施する。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19感染拡大に伴い、臨床業務が増大した点。緊急事態宣言に伴い、研究活動の自粛が求められた点。これらにより当初予定していた実験が遂行できなかった事が主な理由である。2021年度に繰り越し、20年度実施予定であった研究計画を遂行する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] グルコース/cADPR/TRPM2クロストークの異常と2型糖尿病発症メカニズムの解明2021

    • 著者名/発表者名
      船崎俊介、吉田昌史、山田穂高、鈴木大輔、犀川理加、加計正文、出崎克也、原一雄
    • 学会等名
      第64回日本糖尿病学会年次学術集会

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公開日: 2021-12-27  

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