4-5週令の雄性C57BL/6Jマウスを低脂肪食を与える群、高脂肪食を与える群、低脂肪食または高脂肪食に胆汁酸吸着剤を混餌し与える群、高脂肪食に胆汁酸を混餌し与える群に割り付け、体脂肪蓄積、耐糖能、腸管機能について、有細菌環境と無菌環境で検討を行った。これまでの検討に一致して、腸管腔内での胆汁酸の吸着により、高脂肪食によって惹起された体脂肪蓄積と耐糖能の悪化の改善が観察され、これに合併して生じた腸管の組織学的・機能的変化も軽減していた。一方、これらの検討を抗菌剤の連続投与下で行ったところ、高脂肪食による体脂肪蓄積と耐糖能の悪化は、有細菌通常マウスに比較して軽度であり、さらに胆汁酸吸着剤による体脂肪蓄積と耐糖能の有意な改善は認められなかった。腸管の解析においても、抗菌剤の投与下では、有細菌化で観察された胆汁酸吸着剤の影響は軽減していた。しかし腸管内の代謝産物においては、抗菌剤投与下では胆汁酸量の増加が認められた。雄性無菌マウスを用いて同様の検討を行ったところ、やはり同剤による高脂肪食誘導の体脂肪蓄積と耐糖能の改善は認められず、腸管への影響も通常環境下のマウスに比較して軽度であった。さらに高脂肪食または高脂肪食に胆汁酸吸着剤を混餌投与したマウスの腸内細菌叢を無菌マウスへ移植し、レシピエントマウスの腸内細菌叢の変化を観察したところ、Firmicutes門の細菌が優位である細菌叢構成が前者のレシピエントマウスで再構築されていることが確認された。
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