胆道閉鎖症の細胞性免疫環境構築に果たすオートファジーの役割

2022 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 18K08535
• 研究機関: 千葉県がんセンター(研究所)
• 研究代表者: 齋藤 武 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ がん遺伝創薬研究室, 主任医長 (20406044)
• 研究分担者: 幡野 雅彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (20208523) ; 吉田 英生 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (60210712) [辞退] ; 坂本 明美 千葉大学, バイオメディカル研究センター, 准教授 (90359597)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: オートファジー / 胆管上皮細胞 / 免疫応答 / 制御性T細胞 / 自己免疫疾患

研究実績の概要

2022年度は、これまでの血液肝胆道組織における検討細胞のautophagy機能の検証に多くの時間を費やした。胆道閉鎖症患児とcontrol群における比較、末血T細胞分画や胆管上皮細胞におけるautophagy機能の差異、そしてストレス下におけるその変化、などについて再現性を確かめることとした。加えて、病因関連因子としてTregを念頭に置いており、全身と局所におけるautophagy機能を整理することに時間を費やした。
肝組織を用い、ウェスタンブロティング法にてLC3-Ⅱ(lipidated form
of microtubule-associated protein 1 light chain 3)とp62発現量を調べたところ、BAではcontrol群に比し、前者で3.2±1.3倍、後者で2.8±2.5倍、いずれも有意に高発現していた。免疫組織化学染色でその局在をみると、ともに胆管上皮細胞に集積していたが、
電子顕微鏡下に詳細をみると、前者は上皮細胞核内に、後者は細胞質内に蓄積する傾向が顕著であった。さらに局所のautophagyプロセスを検索するために、電顕下でAutophagosome とautolysosome の両者をカウントし、autophagic vacuolesとして算出した。胆管上皮細胞10個当たりのvacuoles数は対照群 2.3±1.6, BA 8.2±4.5でありBAで有意に多かった。3個以上のautophagic componentsを有する細胞数もBAで有意に高い傾向をしめした。同結果は、BA局所の胆管上皮細胞ではautophagy機能が亢進しているが、autophagy過程の後半の構成要素であるlysosomeの機能異常を示唆する所見といえる。

研究成果

• [雑誌論文] Clinical outcome of ulcerative colitis with severe onset in children: a multicenter prospective cohort study. (2023)
  • 著者名/発表者名: Nambu R, Arai K, Kudo T, Murakoshi T, Kunisaki R, Mizuochi T, Kato S, Kumagai H, Inoue M, Ishige T, Saito T, Noguchi A, Yodoshi T, Hagiwara SI, Iwata N, Nishimata S, Kakuta F, Tajiri H, Hiejima E, Toita N, Mochizuki T, Shimizu H, Iwama I, Hirano Y, Shimizu T; JPIBD-R.
  • 雑誌名: J Gastroenterol. 巻: - ページ: -
  • DOI: 10.1007/s00535-023-01972-1.
  • 査読あり
• [雑誌論文] 術前薬物療法が奏功し完全切除し得た局所浸潤右副腎皮質癌の1乳児例． (2022)
  • 著者名/発表者名: 小関元太, 中田光政, 照井慶太, 小松秀吾, 山下喜晴, 力石浩志, 日野もえ子, 齋藤 武, 菱木知郎．
  • 雑誌名: 日小外会誌. 巻: 58 ページ: 984-991
  • 査読あり
• [雑誌論文] 腹壁閉鎖困難例に対するcomponent separation technique(CST)の応用 CSTおよび青山法による腹壁閉鎖の経験． (2022)
  • 著者名/発表者名: 照井慶太, 齋藤 武, 武之内史子, 小松秀吾, 笈田 諭, 岩井 潤, 菱木知郎．
  • 雑誌名: 小児外科. 巻: 54 ページ: 1202-1206.
• [雑誌論文] 先天性胆道拡張症 戸谷分類の課題 II型(憩室型)について． (2022)
  • 著者名/発表者名: 齋藤 武．
  • 雑誌名: 小児外科. 巻: 54 ページ: 850-855.
• [雑誌論文] 高位・中間位鎖肛手術術式の成績と問題点 筋群切開を伴う術式について． (2022)
  • 著者名/発表者名: 岩井 潤, 中田光政, 佐永田友季子, 瀧口翔太, 齋藤 武．
  • 雑誌名: 小児外科. 巻: 54 ページ: 656-660.
• [雑誌論文] A consensus statement on health-care transition for childhood-onset inflammatory bowel disease patients. (2022)
  • 著者名/発表者名: Kumagai H, Shimizu T, Iwama I, Hagiwara SI, Kudo T, Takahashi M, Saito T, Kunisaki R, Uchino M, Hiraoka S, Naganuma M, Sugimoto K, Miyoshi J, Shibuya T, Hisamatsu T.
  • 雑誌名: Pediatr Int. 巻: 64 ページ: e15241.
  • DOI: 10.1111/ped.15241.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Frequency and function of circulating regulatory T-cells in biliary atresia. (2022)
  • 著者名/発表者名: Oita S, Saito T, Sakamoto A, Fujimura L, Ohara Y, Fumita T, Terui K, Nakata M, Komatsu S, Matsuura G, Hatano M, Hishiki T.
  • 雑誌名: Pediatr Surg Int. 巻: 39 ページ: 23
  • DOI: 10.1007/s00383-022-05307-8.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] 先天性胆道拡張症におけるAlonso-Lej/戸谷Ⅱ型分類の意義． (2022)
  • 著者名/発表者名: 齋藤 武，安藤久實，石原 慎，糸井隆夫，漆原直人，大塚将之，越永従道，濵田吉則，諸冨嘉樹．
  • 学会等名: 第59回日本小児外科学会．
• [学会発表] 一卵性双生児の網羅的ゲノム解析による胆道閉鎖症の遺伝的素因の解明． (2022)
  • 著者名/発表者名: 里村宜紀, 齋藤 武, 山野由貴, 井上泰輔, 福井美穂, 大沼真輔, 福岡智哉, 橘真紀子, 木村武司, 別所一彦．
  • 学会等名: 第38回日本小児肝臓研究会．
• [学会発表] 食道閉鎖症術後の気管食道瘻再開通手術における留意点． (2022)
  • 著者名/発表者名: 齋藤 武，中田光政，岩井 潤，佐永田友希子，瀧口翔太．
  • 学会等名: 第38回日本小児外科学会秋季シンポジウム．