研究課題/領域番号 |
18K08537
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
坂井 幸子 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (10710478)
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研究分担者 |
久保田 良浩 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30305601)
加藤 久尚 滋賀医科大学, 医学部, 医員 (40756756)
谷 眞至 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60236677)
清水 智治 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (70402708)
田尻 達郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80304806)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Hirschsprung病診断 / Calretinin免疫染色 / Choline transporter免疫染色 / Acetylcholinesterase染色 |
研究実績の概要 |
本研究の第一の目的は、新生児期の腸管ホルマリン固定標本を用いてCalretinin免疫染色(CR染色)とCholine transporter免疫染色(ChT染色)を行い、これらを併用することで、従来のAcetylcholinesterase染色(AChE染色)のみでは困難であった、新生児早期や早産児におけるHirschsprung病(H病)の確定診断を行えることを証明することである。本年度の研究成果は以下の通りである。 ①新生児期非H病患者の新生児検体に対し免疫染色を行った。 過去10年間に本研究施設群で新生児期に腸管組織を採取した非H病患者を対象とし、腸管ホルマリン固定検体に対しCR染色とChT染色を施行した。【結果1】粘膜固有層の内因性神経線維がCR染色で陽性となることを確認した。これにより、H病診断における直腸粘膜生検において、AChE染色を補足する診断方法として、CR染色が、患児の日齢や在胎週数にかかわらず有用であることが示された。【結果2】対象症例の腸管でのChT染色では陽性となる神経線維を認めず、ChT染色における陰性コントロールの確認ができた。 ②H病患者の検体での染色を行った。 過去10年間に本研究施設群でH病と診断された患者を対象とし、対象症例の腸管検体の正常部,病変部それぞれに対し、CR染色とChT染色を施行した。【結果1】正常部ではCR染色陽性、ChT染色陰性であった。【結果2】病変部ではCR染色陰性を確認できたが、ChT染色の結果は神経線維の染色が薄く、加えてバックグラウンドが強いため、判定不能であった。これらの結果から、無神経節腸管ではCR染色陰性は確認できたが、ChT染色の有用性は確認できなかった。 今後はChT染色の染色条件を変えながら再試行を行う必要があり、H病疑いの患者を対象とする実臨床への応用へは至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ChT免疫染色で神経線維が予想よりも陽性所見が不明瞭であり、染色結果をみて評価するに値していないため、染色の条件設定に難渋している。
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今後の研究の推進方策 |
新生児期早期・または早産児の正常腸管においてもCR染色の陽性は確認できており、今後はH病診断において、AChE染色に加えて、CR染色も行い、研究データを蓄積していく予定である。 ChT染色については、免疫染色を再試行し、H病診断における判定に有用であるか確認する。また、ChT以外にもコリン作動性神経を確認する抗体は複数存在するため、当初の研究計画には含まれていない免疫染色を追加して評価することも検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が当初の予定よりも遅延しており、実験補助者を必要とすることが少なく、謝金分の費用が残額となった。 次年度には今年度よりも実験が進むことが期待できるため、実験補助者への謝金や、実験に使用する物品費が継続して必要になる。また、研究で得られたデータの検討のために必要な物品の費用、研究成果を発表するための学会参加や論文作成にも研究費を使用する必要がある。
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