研究課題/領域番号 |
18K08540
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 友加 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (90432666)
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研究分担者 |
大段 秀樹 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (10363061)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 制御性T細胞 / ステロイド / 臓器移植 / 遺伝子多型 |
研究実績の概要 |
臓器移植後の拒絶反応の治療には、ステロイドパルスが第一選択として用いられる。移植以外の分野でもステロイドパルス療法は、その免疫抑制効果から経験的に使用されてきたが、免疫機構に対しての明らかなエビデンスは不明な点が多い。今回我々は、同種異系(アロ)免疫応答におけるステロイドレセプターを介したTreg優位性というGRの新たな機能解明と新規治療を提案することを目的として、ステロイドホルモンレセプターを介した制御性T細胞誘導およびアロ免疫制御機構を、ヒト末梢血リンパ球を用いてin vitroで解明する。また、肝臓移植において、術後細胞性急性拒絶反応発症率とFOXP3のプロモーター領域のSNPとの関連性を解析し、拒絶反応発症率には差がないものの、FOXP3の遺伝子多型が個々のステロイドパルス感受性と相関することを発見した。そこで、肝臓移植とともに腎臓移植症例のFOXP3の遺伝子多型を解析し、拒絶反応、DSA発症等臨床所見との相関性を評価する。これまでに、腎臓移植および肝臓移植の臨床解析において、術後長期でのDSA発症前には、CFSE-MLR免疫モニタリングによって抗ドナーCD4+T細胞免疫応答亢進が関連すること、FOXP3(rs3761548)[3279 A/C]-SNP解析により、A carrierを示す症例にDSA陽性症例が多いこと、肝臓移植後の免疫抑制剤離脱症例はCC症例であることがわかった。CD3/CD28刺激あるいはアロリンパ球刺激培養への各種ステロイド剤の添加実験では、抗原反応性CD4T細胞に加え制御性T細胞の誘導も認めた。抗原応答性制御性T細胞の機能評価実験は進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床臓器移植(腎臓移植、肝臓移植)におけるFOXP遺伝子多型解析はほぼ終了し、ステロイドレセプターの解析を進行中である。基礎研究については、TCR刺激および同種異系(アロ)刺激によるリンパ球免疫応答に伴う制御性T細胞のフェノタイプおよび機能解析とステロイドレセプターとの関連性を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
臨床解析については、成果報告(論文投稿)の準備中である。基礎研究については、サンプル数を追加した実験の追試およびGRを標的としたアゴニストによる制御性T細胞機能誘導と抗ドナーT細胞応答抑制評価の研究を準備進し、成果報告に備える予定である。
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