研究課題
βアレスチンはG蛋白質共役受容体(GPCR)のdesensitizationおよびinternalizationに関与するタンパク質として同定されたが、近年の研究により、βアレスチン自身も多くのsignaling moleculesのscaffold 蛋白として作用し、G蛋白質とは独立したシグナル伝達に関与していることが明らかとなった。このアレスチン経路はごく近年、癌の発生から薬剤耐性の獲得まで幅広く癌と関わっていることが示唆されるようになったが、その詳細は未だほとんど解明されていない。2012年に申請者が所属していた研究室において開発された新たな変異GPCR(arrestin-biased DREADD,以下DREADD-Arr)は、内在性リガンドには全く反応せず、薬理学的に不活性であるClozapine-N-Oxide(CNO)にのみ反応し、さらにG蛋白質には全く結合せず、アレスチン経路のみを特異的に惹起できるレセプターである。本研究はDREAD-Arrを用いて、癌におけるアレスチン経路の機能的意義を検索し、癌の発生、増殖、浸潤、および薬剤感受性などへの関わりを明らかにすることを目的としている。しかしながら本研究では、in vitroでの実験系が効果的に機能していないため、一部方向性を柔軟に転換し、βアレスチン経路の臨床的な意義の解析を進めている。
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