研究課題/領域番号 |
18K08548
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
池田 直也 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (20336861)
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研究分担者 |
庄 雅之 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50364063)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | トリプルネガティブ乳癌 / 免疫治療 / 癌幹細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では (1)TN 乳癌の切除標本を用いた予後および臨床病理 学的因子の多角的解析による TN 乳癌に対する新規免疫治療標的分子の探索,ならびに,(2)TN 乳癌幹細胞に対する in vivo における免疫不活化阻害効果の検証を目的とした. 令和元年度の臨床検体を用いた実験系では,平成30年度から継続している(1)「TN 乳癌における新規 T 細胞 Negative Signal 分子発現の臨床的意義の解明」 に関する実験系を進め,(2)TN乳癌幹細胞を標的としたT細胞Negative Signal阻害による抗腫瘍効果の検討に関する実験系では,既知のT細胞Negative Signal分子であるCTLA-4やPD-1の阻害が,TN乳癌幹細胞と想定される腫瘍細胞に対してどの程度抗腫瘍効果(免疫応答)を惹起し得るかを検討した.今年度は研究計画に基づき以下の実験を計画している.野生型マウス腫瘍モデルを用いて,乳癌において癌幹細胞の表面マーカーとして報告されているCD24, CD44, CD90, CD133, EpCAM等によりFACS sortingを行い,癌幹細胞を分別する.これらの癌幹細胞と想定される細胞を同系マウスに移植した後,抗PD-1抗体,抗CTLA-4抗体,抗B7-H3抗体を投与し,腫瘍増殖,マウス生存率等からin vivoにおける抗腫瘍効果を検証する.さらに腫瘍抗原特異的免疫応答が誘導されたか否かを検討するために,治療後マウスの脾臓を摘出後,FACS解析を行うことを計画している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度は,「TN 乳癌における新規 T 細胞 Negative Signal 分子発現の臨床的意義の解明」 に関する実験を予定した.新規T細胞Negative Signal分子 (Immune Checkpoint Molecule)あるいは Cancer Immunity Cycleに 関わると想定されるHVEM/BTLA-LIGHT, CD155,CD200,CD160, Endothelin B receptor (ETBR), TIM-3, GAL-9に関してTN乳癌切除標本を用いて免疫染色を行ったが, HVEM/BTLA-LIGHT, Endothelin B receptor (ETBR), TIM-3, GAL-9に関しては染色効果が不良であったため,Real-time PCRによるmRNA発現の評価を行った.約1/3の検体でのcDNAの濃度が低く,再度凍結標本から mRNAを抽出し,cDNA作成を行ったが,ハウスキーピング遺伝子であるβアクチンも増幅されず検体不良と結論づけた. TN乳癌幹細胞を標的としたT細胞Negative Signal阻害による抗腫瘍効果の検討に関する実験系では,既知のT細胞Negative Signal分子であるCTLA-4やPD-1の阻害が,TN乳癌幹細胞と想定される腫瘍細胞に対してどの程度免疫応答を惹起し得るかを検討した.上記野生型マウス腫瘍モデルを用いて,乳癌において癌幹細胞の表面マーカーとして報告されているCD24, CD44, CD90, CD133, EpCAMによりFACS sortingを行い,癌幹細胞を分別しているところである
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,研究計画に沿って,研究を推進していく予定である. これまでの実験系の中でうまくいかなかった部分に関してはトラブルシューテイングを行う.解決しない場合には,他機関へのコンサルテーションを行い,適宜解決していくことも想定している.
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