研究実績の概要 |
本研究では (1)TN 乳癌の切除標本を用いた予後および臨床病理学的因子の多角的解析による TN 乳癌に対する新規免疫治療標的分子の探索,ならびに,(2)TN 乳癌幹細胞に対する in vivo における免疫不活化阻害効果の検証を目的とした. 平成30年から令和元年にかけては,臨床検体を用いた実験系において「TN 乳癌における新規 T 細胞 Negative Signal 分子発現の臨床的意義の解明」 に関する実験系を進め,(2)TN乳癌幹細胞を標的としたT細胞Negative Signal阻害による抗腫瘍効果の検討に関する実験系では,既知のT細胞Negative Signal分子であるCTLA-4やPD-1の阻害が,TN乳癌幹細胞と想定される腫瘍細胞に対してどの程度抗腫瘍効果(免疫応答)を惹起し得るかを検討した.令和2年からは動物実験系において,野生型マウス腫瘍モデルを用いて,乳癌において癌幹細胞の表面マーカーとして報告されているCD24, CD44, CD90, CD133, EpCAM等によりFACS sortingを行い,癌幹細胞を分別した. 得られた癌幹細胞と想定される三種類の細胞(TN-ST1, TN-ST2, TN-ST3)を同系マウスに移植した後,抗PD-1抗体,抗CTLA-4抗体,抗B7-H3抗体を投与し,腫瘍増殖,マウス生存率等からin vivoにおける抗腫瘍効果を検証した. 今後,腫瘍抗原特異的免疫応答が誘導されたか否かを検討するために,治療後マウスの脾臓を摘出後,FACS解析を行う.脾臓・リンパ節からFACS sortingにより回収し,同系 担癌免疫不全マウス(Rag KO)に養子移入し,腫瘍増殖抑制効果および転移抑制効果の検証を計画している.
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