申請者らが研究を推進してきた細胞シート工学技術を応用し、直腸癌外科手術後(低位前方切除)の縫合不全を減らすために、腹膜と脂肪由来幹細胞(ADSC)からハイブリッド細胞シートを作製し、操作性の良い細胞シートによる新規再生医療的消化管吻合部の補強治療の開発を目的とした。 (1)ハイブリッド細胞シートの作製:(A)脂肪由来幹細胞(Adipose-derived mesenchymal stem cell:ADSC)シートの作製と(B) ハイブリッド細胞シート(ADSCシート+腹膜)の作製):前年に引き続きコロナ禍の影響で大動物の使用や実験に複数の人員を要する実験が困難なため、サロゲートとしてラットを用いた小動物で本格的に実験を進めた。 SD ラットで ADSCシートとハイブリッド細胞シートを安定して作製することができるようになった。ラット皮下脂肪からADSCシートを作製し、ラット背部骨格筋の表面(直腸筋層のモデル)に移植した群とハイブリッド細胞シートを移植した群を組織学的に比較した(実験A)。また、小動物へ変更するにあたり、消化管モデルとして胃壁を用いた実験をおこなった。ラットの胃の漿膜を外科的に除去した部位にADSCシートとハイブリッド細胞シートを移植し、組織学的に比較をした(実験B)。(2)Conventionalな腹腔鏡下手術によるハイブリッド細胞シート移植手技のFeasibility:コロナ禍の影響で前述した小動物用いた実験に変更した。(3)ロボット支援下手術によるハイブリッド細胞シート移植手技のFeasibility Study:ロボット手術のインストゥルメントを準備していたが、(2)と同様にコロナ禍の影響で大動物実験が困難で小動物用いた実験に変更した。
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