研究課題/領域番号 |
18K08561
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中西 史 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (00547408)
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研究分担者 |
宮城 重人 東北大学, 大学病院, 准教授 (00420042)
中川 敦寛 東北大学, 大学病院, 特任教授 (10447162)
荒船 龍彦 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (50376597)
大谷 清伸 東北大学, 流体科学研究所, 特任准教授 (80536748)
中野 徹 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (50451571)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | パルスウォータージェットメス / 肝切除 / 血管温存 / 十点平均粗さ / 破断応力値 / 肝硬変 |
研究実績の概要 |
ピエゾ駆動方式パルスウォータージェットメス(Piezo Actuator-Driven Pulsed Water Jet System:ADPJ)は噴流をパルス化したウォータージェットメスである。この研究では,ADPJの肝切除への臨床応用に向けた開発・評価を行った。 まず、ブタ摘出肝に一定時間のもと,ADPJと既存の超音波手術器を用いて切開を入れ,血管温存率と切開速度を測定した。ADPJの血管温存率は,80 Vまでは100%であった。切開速度は駆動電圧に正の相関を示し(P < 0.001),80 Vでは有意に既存の超音波手術器よりも早かった(P < 0.001)。また,その断面の十点平均粗さを測定したところ、ADPJで有意に小さかった(P < 0.001)。これらは、既存機器と比べADPJは、血管を温存し、より早く正確に肝切除できる可能性が示している。 さらに、ヒト摘出肝の物理学特性の調査を行った。小型卓上試験機を用いて肝組織の破断応力値を測定した。正常肝実質および肝硬変肝実質はともに肝静脈やグリソン鞘より有意に低い破断応力値を示した(P < 0.001)。このことより、破断応力値によって切除されるか温存されるかを条件設定できるADPJを用いることで、正常肝のみならず肝硬変でも肝切除が可能であると示唆された。同様の方法で,ブタ摘出肝の各組織の破断応力値を測定し,ヒト摘出肝の結果と比較・検討した。ブタ摘出肝でも同様に,肝実質では肝静脈やグリソン鞘より有意に低い破断応力値を示した(P < 0.001)。また,ブタ摘出肝臓とヒト摘出肝臓の各組織の破断応力値を比べると,肝実質と肝静脈またはグリソン鞘との破断応力値の差は,ヒトでより大きかった。ヒトの肝臓はブタの肝臓よりも組織間の破断応力値の差が大きいことから,より安全に肝切除が行える可能性を示すことができた。
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