研究課題
RNA editingの癌化における機序が近年、解明されつつあり、RNA editingは翻訳蛋白の機能変化のみならず、非翻訳RNA領域においても、その発現変容に深く関わることが明らかとなってきている。また癌転移形成には、癌細胞原発巣からの遊離、転移巣での接着、浸潤と生着、増殖、血管新生の各過程に多数の転移促進・抑制分子群が関与している。これには癌細胞側と転移臓器側の複合的要素が関与している可能性が想定されるが、癌細胞側の因子のみを考慮しても細胞接着・運動能や増殖能等の原発巣癌細胞自身のcharacterのみならず、原発巣から転移臓器で生着するまでの経過の中で、癌細胞自身がEMTからMETのようなdrasticな適応性変化を呈している可能性もある(Hur K, Gut 2013)。本研究では、同時性腹膜播種を認めた原発巣と、同一患者の播種巣、腹膜播種を認めなかったほぼ同一深達度の原発巣、そして健常粘膜の4群間のsequenceを行うことで、様々な観点からの腹膜播種関連候補RNA editing sitesの同定を行う。さらに原発組織、播種組織と同一患者の血清を利用して、原発腫瘍、血清ともにsequenceすることで、胃癌分泌血清biomarkerを同定することは、本研究の斬新的な点と言える。また治療への応用を考慮した腹膜播種進展機序解明を行う点は、学術的にも意義深いものであり、胃癌腹膜播種根絶への試金石ともなりうる治療戦略につながる可能性があり、腹膜播種転移に苦しむ胃癌患者に対する臨床的償却に直結した研究を遂行する。本年度は、追加で抽出したRNA検体を用いて、候補遺伝子のRNA修飾の程度をEWSS-qPCRで測定してその臨床的意義を検証、さらにRNA修飾に関与する標的分子の発現解析をおこなった。
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