研究課題/領域番号 |
18K08567
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小川 絵里 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (30440506)
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研究分担者 |
八木 真太郎 京都大学, 医学研究科, 講師 (60447969)
長尾 美紀 京都大学, 医学研究科, 教授 (80523993)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 腸内細菌 / 肝移植 / 拒絶 / 門脈圧 |
研究実績の概要 |
本研究ではラットAllogenic-肝移植(LT)モデルとsyngenic-LTモデルの周術期腸内細菌叢の変化と拒絶の有無によってBacterial translocation(BT)の発生頻度に差があるかどうかの比較検討を目的としている。Allogenic-LTモデルではsyngenic-LTモデルに比して術後Day3までの体重、肝重量および血液検査所見は差を認めなかったが、Day7より体重の減少、グラフト肝臓の腫大、肝酵素の上昇、黄疸および血小板減少が認められた。また、Day7からDay10にかけて門脈圧が上昇し、エンドトキシンの値が優位に高かった。レシピエントの免疫能の解析においては、術後7日目より好中球/リンパ球比が上昇し、CD4/CD8比が低下し、糞便中もIgA値が有意に低値であった。腸内細菌叢の解析では両モデル間に細菌の総数に変化はなかった。一般的に有益とされる偏性嫌気性菌(Bacteroides、Bifobacterium等)の量に差はなかったが、同じく有益とされる通性嫌気性菌(Lactobacilus)はDay10においてallogenicモデルで有意に減少していた。有害とされるクロストリジウム属に差はなかったが、通性嫌気性菌(Enterobacteriaceae、Enterococcus、Streptococcus、Staphylococcus)においては術後早期よりallogenicモデルで有意な増加が認められた。また、BTの原因菌はEnterobacteriaceae、Enterococcus、Streptococcusの3種類に限定されていた。炎症性サイトカインの解析では、allogenicモデルにおいてDay7からDay10のIL-6とTNF-αの値が有意に高かった。BTの発生頻度は菌血症の発生頻度にて評価した。手術手技に伴うDay1からDay3のBT頻度は約30%前後と両群で同等であり、Day7からDay10では両群ともに血液中より菌は同定されなかった(0%)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、動物実験の結果が出せていうることと臨床データ解析も順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
肝再生に関する解析、臨床研究の今後の方針について検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2月、3月においてCOVID19の蔓延に伴い、実験の遅延が生じたから。
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