研究課題
rat allogeneic肝移植モデル(DA rat→Lewis ratへの全肝移植)を作成し,免疫抑制剤を投与しない状況下で急性拒絶により進行していく肝機能不全と腸内細菌叢,糞便中の有機酸濃度,bacterial translocation(BT)の変化を観察した.比較対象としてsyngeneic肝移植モデル(Lewis rat→Lewis ratへの全肝移植)も作成した.②当施設で行う成人生体肝移植のレシピエント(23例)の移植前の便と血液を採取し,ラットと同項目を観察した.比較対象としてドナー(21例)を用いた.本研究の目的は肝不全や肝障害の進行に伴う腸内細菌の変化を経時的に観察し,小動物モデルとヒトの双方における普遍性を確認することである.Allogeneicモデルは急性細胞性拒絶のためday 11前後に死亡した.移植後day 10のAllogeneicモデルとヒトのレシピエントは共に対照群に比して顕著なdysbiosisを呈した.特に,複数の最優勢偏性嫌気性菌の減少とEnterobacteriaceae及びEnterococcusの増加が顕著であった.糞便中の短鎖脂肪酸濃度は著明に減少していた.Allogeneicモデルでは拒絶が顕在化し肝不全が進行するにつれて免疫能が低下し,糞便中IgAが減少して腸管のバリア機能も低下して血中のLPSが増加した.レシピエントでも同様の傾向が見られた上,MELD scoreが高い患者ほどdysbiosis,腸内環境の悪化,BTの程度が重度であった.末期肝不全や移植後拒絶反応に伴う重度の肝機能障害時には,全身/腸管免疫能並びにバリア機能が低下し,腸内細菌叢のdysbiosis,更にはBTが引き起こされたことから,ヒトにおいても小動物においても肝移植における「腸肝相関」の重要性が示唆された.
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