研究課題/領域番号 |
18K08581
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
木村 成卓 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90348657)
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研究分担者 |
大塚 崇 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40306717)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 心移植 / 人工ガス運搬体 / 虚血再灌流傷害 |
研究実績の概要 |
当初順調に進むと考えられていた腹部へのラット異所性心移植モデルの成功率が著明に悪化し、研究の進行が遅れてしまっている。ドナーラットからの心臓の摘出自体は大きな問題なく施行できているが、ドナー心のレシピエント腹部への植込みの際、特にドナー心の肺動脈とレシピエントの腹部下大静脈との吻合がうまくいかずに大出血をきたしたり、あるいは吻合終了後もドナー心の拍動がみられないような場合がほとんどで解析が不可能な状態になってしまっている。そのため(一酸化炭素付加)人工ガス運搬体を加えた心臓保護液・臓器保存液を用いた移植まで到達しておらず、成功率を上げるために手技を向上させたり、試行錯誤している最中である。具体的にはレシピエントラットのサイズをもう少し大きくする(200g→250g以上)、ドナー心の植込みの際は一人ではなく助手を付けて吻合の時間を短縮させる、吻合の際の糸をより細いものに変える、などである。またドナー心を腹部に植え込むのではなく、レシピエント頸部皮下においてレシピエントの頸動脈・頸静脈にそれぞれドナー心の大動脈・肺動脈を吻合する方法も報告されており(Heron I. Acta Pathol Microbiol Scand A 1971)、現在そちらの方法による移植法にも着手し始めた。特にcuff method と呼ばれるcuffを用いた吻合法が成功率が高いという報告もあり、技術を確立しラット異所性心移植モデルを安定して作成できるように取り組んでいるところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初順調に進むと考えられていた腹部へのラット異所性心移植モデルの成功率が著明に悪化し、研究の進行が遅れてしまっている。ドナーラットからの心臓の摘出自体は大きな問題なく施行できているが、ドナー心の腹部への植込みの際、特にドナー心の肺動脈とレシピエントの腹部下大静脈との吻合がうまくいかずに大出血をきたしたり、あるいはドナー心の拍動がみられないようになってしまっている。そのため人工ガス運搬体を加えた心臓保護液・臓器保存液を用いた移植まで到達しておらず、成功率を上げるために手技を向上させたり、試行錯誤している最中である。具体的にはレシピエントラットのサイズをもう少し大きくする(200g→250g以上)、ドナー心の植込みの際は一人ではなく助手を付けて吻合の時間を短縮させる、吻合の際の糸をより細いものに変える、などである。またドナー心を腹部に植え込むのではなく、レシピエント頸部皮下においてレシピエントの頸動脈・頸静脈にそれぞれドナー心の大動脈・肺動脈を吻合する方法も報告されており(Heron I. Acta Pathol Microbiol Scand A 1971)、現在そちらの方法による移植法にも着手し始めた。特にcuff method と呼ばれるcuffを用いた吻合法が成功率が高いという報告もあり、技術を確立しラット異所性心移植モデルを安定して作成できるように取り組んでいるところである。
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今後の研究の推進方策 |
ラットの心移植モデルについては腹部・頸部ともに引き続き継続して行い、成功率を高めるように努力する。特に頸部皮下への移植については手術を開始した直後であり、今後の成績が改善するように細かな工夫を追加していきたいと考えている。また同時に、ドナー心をレシピエントに植え込む前の心臓の経時的変化を組織学的に評価することも行う予定にしている。具体的には心筋保護液・臓器保存液中に(一酸化炭素付加)人工ガス運搬体を加えない場合(コントロール)と加えた場合(どの程度の量を加える(どの程度の濃度にする)のがふさわしいかも検討する)で、摘出直後・摘出1・2時間後で心筋組織構造に違いが出てくるかを組織学的に解析を行う。本研究については、供給量の限られている人工ガス運搬体をできる限り節約するために、ラットではなくマウスを用いて行うことを考えている。ラット心移植モデルの成功率が向上し安定してきた際には、当初の予定通り移植したドナー心を摘出し解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の大塚が東京慈恵医大へと異動になり、それに伴い分担金の使用が本年度生じなかったためである。本分担金は翌年度分と合わせ試薬購入や人工ガス運搬体の準備・供給のために必要な資金として使用する予定となっている。
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