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2022 年度 実施状況報告書

乳癌術前化学療法によるdormancy導入診断に基づく手術省略療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K08585
研究機関独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部)

研究代表者

重松 英朗  独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (40543707)

研究分担者 尾崎 慎治  独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (10558266)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワード術前薬物療法 / dormancy / 腫瘍微小環境
研究実績の概要

本研究では、乳癌薬物療法によるdormancy導入の機序解明を目的として、術前化学療法が施行された早期乳癌を対象に腫瘍微小環境因子と予後との相関を検討している。
今年度の研究では腫瘍微小環境として乳腺腫瘍周囲浮腫(PE:peritumoral edema)に着目し、臨床研究および基礎研究を進めた。乳房MRIのT2強調像にて腫瘍周囲や乳腺後隙のhigh intensityを伴うものをPEと判定し、術前化学療法前のPE(pre-PE)と術前化学療法後の遺残PE(residual-PE)を評価した。術前化学療法が施行された早期乳癌128例中、PE陽性乳癌を64例(50%)に認めた。PE陽性乳癌64例中、21例(32.8%)にPE遺残を認め、PE遺残乳癌はPE消失乳癌に比較して優位に予後不良であった(p<0.0001)。Cox回帰解析においてPE遺残は有意な予後不良因子であった(RR20.5, 95%CI 5.3-108.2, p<0.0001)。本研究結果は第31回日本乳癌学会学術総会で発表予定であり、英語論文を提出中である(under review)。PE陽性乳癌では顕微標的に乳癌周囲間質組織に血管拡張、リンパ管侵襲、コラーゲン繊維の沈着を認めることを確認しており、PEと腫瘍関連線維芽細胞やマクロファージとの相関、顕微鏡による浮腫評価を進めている。
PEは乳癌組織でなく乳癌周囲組織の浮腫状況を反映しており、腫瘍微小環境として乳癌周囲間質が乳癌予後因子や治療標的となる可能性が示唆されたものと考える。今後は乳癌周囲組織浮腫の発生機序を明らかとし、治療標的となるマーカーを同定する方針である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

対象症例の臨床病理学的因子と間質マーカーと予後の相関に関する臨床データは確定しており、乳癌周囲浮腫に関する結果を学会発表および論文発表ができる状態である。
一方で、腫瘍微小環境や乳房周囲浮腫に関する発生機序やバイオマーカーに関する基礎的な研究結果はまだ確定していない。
以上のように、基礎的な検討についての研究延長が必要な状態であることから、上記区分で判断した。

今後の研究の推進方策

今後は臨床データを裏付けする基礎的な検討結果が求められます。
臨床データは確定し、基礎的研究を中心に行うことにより、研究結果に厚みを加えたいと考えています。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染症影響下で学会参加が制限されました。
今後の基礎的検討で、試薬や協力費が発生する予定です。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Effect of neoadjuvant chemotherapy on peritumoral edema in breast cancer and its clinical significance2023

    • 著者名/発表者名
      重松英朗
    • 学会等名
      第31回日本乳癌学会学術総会

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公開日: 2023-12-25  

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