研究課題/領域番号 |
18K08587
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研究機関 | 熊本保健科学大学 |
研究代表者 |
上妻 行則 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (90550145)
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研究分担者 |
二宮 治彦 筑波大学, 医学医療系, 教授 (10198533) [辞退]
山本 隆敏 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (10746233)
登尾 一平 熊本保健科学大学, 保健科学部, 助教 (00832007)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 血小板 / 血小板機能 |
研究実績の概要 |
本年度は、アスピリン存在下またはclopidogrel 存在下で人工髄液の使用が血小板粘着能に与える影響について検証した。コラーゲン(コントロールとして、アルブミン)をコーティングしたチャンバースライドに20万/μLに調整した血小板を播種し、37℃・1時間反応後、FITC-抗CD41抗体で染色し、蛍光顕微鏡で観察した。その結果、アルブミンコートでは残存する血小板はほとんどなかったのに対して、コラーゲンをコートした際には多くの血小板が偽足を伸ばし、粘着していた。一方、アスピリン (終濃度:50, 100μM)存在下で検証したが、血小板粘着能をあまり阻害できず、この結果はclopidogrel(終濃度:2.5μM) でも同様であった。そこで、コラーゲンの代わりにフィブリノゲンをコーティングし、同様の検証を行ったところ、血小板の粘着はアスピリンの存在により抑制できた。一方、clopidogrel(終濃度:2.5μ) 存在下では十分な抑制が認められなかったため、終濃度を25μMで再検証したところ、粘着能は抑制された。次に、アスピリンまたはclopidogrelにより抑制された血小板粘着能を人工髄液添加により回復できるか検証したが、粘着能は回復しなかった。 また、血小板が活性化することにより放出される maicroparticle (MP) が血液凝固を促進することが知られている。そこで、人工髄液添加により血小板からのMP 産生が増強するか否かを検証するために、flow cytometry で MP を測定できる実験系を確立し、人工髄液の添加が MP 産生を促進するか検証したが、 MP の増加は見られなかった。今後は、agonist の濃度などを詳細に検討すると共に、MP 量を flow cytometry や ELISA を用いて検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、新型コロナウイルス感染拡大にともない、講義や学内実習の対応業務の増加により予定していた研究を十分に実施できず、十分な進捗が認められなかった。また、本研究では、採血を行い、血小板を得ることが研究の進捗に大きな影響を与える。本年は研究協力者も新型コロナウイルス感染拡大のためになかなか集まらず、研究に必要な血液を十分に確保することが出来なかった。そこで、少量の血液でも検討が可能な血小板粘着能に焦点を絞って研究を実施した。その結果、フィブリノゲンコーティングにより粘着した血小板はアスピリン添加により減少した。しかし、人工髄液の使用で血小板粘着能は回復しなかった。また、人工髄液の使用が血小板からのMP の産生を増強するか検証したが、MPの増加は認められず、測定条件の詳細な再検証が必要と考えられた。このように予定していた研究を実施できなかったため、本年度が最終年度であったが、次年度への延長申請を行った。 一方、前年度執筆を開始したアスピリンを用いた研究結果に関する論文も新型コロナウイルスへの対応などにより共同研究者による校正などを十分に行うことが出来ていない。
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今後の研究の推進方策 |
抗血小板薬はアスピリンやclopidogrel、cilostazol などがあり、これらを併用することも多い。そこで、今後は本年度実施できなかったアスピリンとclopidogrel、アスピリンとcilostazolなど様々な併用する条件においても人工髄液の使用が血小板凝集能や P-selectin 発現や PS 露出、さらには活性化 GPIIbなど各種血小板活性化マーカーを増強するのか flow cytometry で測定するとともに、MP 産生能についても検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、新型コロナウイルス感染拡大にともない、講義や学内実習の対応業務の増加により予定していた研究を十分に実施できず、十分な進捗が認められなかった。従って、予定していた研究を実施できなかったため、本年度が最終年度であったが、次年度への延長申請を行ったため。翌年度は本年度実施できなかった抗血小板薬であるアスピリンとclopidogrel、cilostazolなどを併用し、その条件においても人工髄液の使用が血小板凝集能や P-selectin 発現や PS 露出、さらには活性化 GPIIbなど各種血小板活性化マーカーを増強するのか flow cytometry で測定するとともに、MP 産生能についても検証する予定である。
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