研究課題/領域番号 |
18K08589
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
小川 真一郎 信州大学, 医学部, 特任教授 (30419353)
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研究分担者 |
増田 雄一 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (60467149)
小山 誠 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (80712778)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 胆管細胞 / 肝内胆管 / シングルセルRNA解析 |
研究実績の概要 |
本研究の基盤となる成果を2020年Nature communicationsに投稿し、査読者よりの追加実験の要求をうけ2020年より2021年にかけて、多くの時間をその査読者からの追加実験に費やした。追加実験の一つの要求は、我々の新規のプロトコールで作成されたiPS細胞由来胆管細胞の詳細な遺伝子解析であった。よって、iPS細胞由来胆管細胞と3D胆管オルガノイドを用いて、シングル細胞RNA解析を行った。過去に論文で発表されている、肝外胆管細胞、肝内胆管細胞、胆嚢のRNAseq, single cell RNAseq解析のデータと比較検討を行い、我々が作成した胆管細胞は、肝外胆管細胞でなく、肝内胆管細胞の遺伝子発現の特性を有していることが判明した。次にトロント大学、共同研究者Dr.PacParlandらが2018年に論文で発表したヒト肝臓のシングル細胞RNA解析の結果(Nat Commun . 2018 Oct 22;9(1):4383. doi: 10.1038/s41467-018-06318-7.)と、我々のデーターを比較検討した。 Batch correction施行後、比較検討すると、我々の3D胆管オルガノイドが、ヒト胆管細胞のクラスターに合致し、また、ピアソン相関では高い相関性をしてすことが確認できた。さらに査読者より要求された、マウスを用いたiPS細胞の移植実験において詳細な解析を再度行ったところ、ヒトiPS細胞由来の胆管細胞が、免疫不全肝障害マウス(TKNOG)の肝臓内で管腔構造を形成し、一部はマウスの胆管細胞と共に存在し、マウスの胆管ネットワークの一部を構成していることを、ヒト特異的CK19とマウス特異的CK19の二重染色で確認された。以上のことより、我々の作成した胆管細胞は、ヒト肝内胆管細胞の特異性を有している事が確認でき、最終的にこの成果はNature Communicationsに受理され、 11月にオンライン上に発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID19の影響で本研究の遂行に多大な遅延が見られたが、なんとか本研究の基盤となる発見を、nature communicationsに発表することが可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の再度の延長が認められたことにより、現在行っているiPS細胞由来の胆管オルガノイド、肝細胞オルガノイドの共移植のin vivoでの成果を論文として発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19に伴う研究遅延のため2022年度も継続して、オルガノイド移植実験を行う。
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