研究課題/領域番号 |
18K08591
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
井上 靖浩 三重大学, 医学系研究科, 客員准教授 (20324535)
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研究分担者 |
問山 裕二 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (00422824)
奥川 喜永 三重大学, 医学部, 助教 (30555545)
藤川 裕之 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (40616091)
荒木 俊光 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (70343217)
楠 正人 三重大学, 医学系研究科, 教授 (50192026)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 潰瘍性大腸炎 / 大腸癌 / メチル化 |
研究実績の概要 |
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis: UC)患者は本邦約10万人で、年間約4千人が発病し、患者数は増加の一途を辿っているが、ステロイド、5-ASAに加え、近年の免疫抑制剤、生物学的製剤を中心とした内科的治療の進歩により、劇症例、内科的治療抵抗例は減少傾向を示してきた。その一方で、慢性長期経過例では、炎症を母地とした大腸癌を合併することがあり、7-8年以上経過した全大腸炎型の累積癌化率は30年で30-40%とされ、全大腸炎型の長期経過例に対しては癌合併のサーベイランスが重要となる。本邦における潰瘍性大腸炎診療ガイドラインにおいても、潰瘍性大腸炎発症から8-10年経過後に、年1回以上の全大腸内視鏡検査下のrandom-step biopsyあるいは拡大内視鏡を併用した有所見部位のtarget biopsyによるサーベイランスが推奨されている。しかしながら潰瘍性大腸炎関連大腸癌の特徴として、組織型が多発癌・低分化型であり、びまん性病変を呈するため、背景粘膜に炎症を伴うため色調での判別も困難となるため、サーベイランスの内視鏡で肉眼的発見が困難なケースも多く、癌発見時にはすでに進行癌であることも少なくないことから、低侵襲で精度の高い早期診断マーカーを確立することが重要となる。今回、潰瘍性大腸炎における様々な部位の大腸粘膜におけるRNAメチル化の程度を明らかにし、さらに内視鏡検査にて簡便に評価可能かつ肛門鏡で生検可能な直腸粘膜を用い、そのRNAメチル化のField effect/cancerizationを用いた大腸全体の癌化の状況を判別する概念を確立することを目的として研究をすすめている。現在、臨床検体からのDNA, RNA抽出作業も終了し、有望な候補メチル化を同定し、すでに臨床検体での検討を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床検体からのDNAやRNAの抽出とそのバイサルファイト処理にやや時間を要したため、進捗はやや遅れているが、現在は有望な候補メチル化マーカーの測定を鋭意進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
さまざまな組織・臨床検体を用いたメチル化マーカーの測定を継続し、その臨床的意義や機能解析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
臨床検体からのDNA, RNA抽出作業が遅れたことにより、使用予定額が減少し、次年度に測定系の実験をおこなうこととなったため次年度使用額に変更が生じた。
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