研究課題/領域番号 |
18K08601
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
宮原 克 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 技術員 (00420844)
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研究分担者 |
藤原 なほ 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20589543)
山高 篤行 順天堂大学, 医学部, 教授 (40200703)
田中 奈々 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50530656)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ヒルシュスプルング病 / 腸管神経系 / エンドセリンB受容体 / 神経堤細胞 / 疾患モデルマウス / 蛍光イメージング |
研究実績の概要 |
腸管神経系の発生には神経堤由来細胞の正常な増殖・移動・分化が不可欠であり、この過程では様々な分子が関与し正常な腸管神経系分布が完了する。今年度においては、1.ヒルシュスプルング病(H病)モデルマウスであるEDNRB欠損マウス(EDNRB KO)において結腸遠位側から口側へと増生する神経線維束の発生に関与する神経細胞がどのような神経マーカーを発現するか、2.腸管神経系発生と血管形成機構の関連、の2つについて検討を行った。 1.では増生する神経線維はこれまでの検討により、一般的な神経マーカーであるPGP9.5、腸管グリア細胞マーカーであるGFAPの両者が陽性であることが確認されているため、この神経線維の発生元である細胞がどのような系統の神経細胞であるかを確認し新しい知見を得ることはH病の診断に有用であると考えた。そこで今年度は正常に腸管神経系が発生する野生型マウス(WT)とEDNRB KOの胎仔マウスを用いて中枢神経における投射ニューロンマーカーであるCtip2とSATB2の2種類の抗体による免疫染色を行い、発生中の腸管神経系において投射神経が存在するか、またその分布がどのようにみられるか検討した。 胎生13.5日、15.5日齢、生後2日のWT,EDNRB KOマウスの凍結切片と組織透明化処理を施したホールマウント標本による免疫染色でそれぞれのマウスの直腸肛門部領域と腸管膜から侵入する神経細胞での発現の有無を観察した。これまでの焦点とする観察部位で投射神経マーカー陽性細胞は確認されなかった。2.では定量PCR法によるRNA量の比較で、ある日齢の腸管において血管新生に関わる因子がWTとKOの間で差が見られた。現在その結果を裏付けるためホールマウント標本による血管走行と神経支配の形態変化の詳細を観察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は研究代表者の体調不良のため入院、欠勤が続き継続した実験ができなかった。また実験の条件検討など基礎的な実験に難渋することが多くそれらに作業時間を費やすことが多かったため。
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今後の研究の推進方策 |
組織透明化に関する手技は確立した。その技術を用いてよりこれまで見出すことが難しかった形態的な変化を見出せることを期待しているが、それには時間とモデルマウスの数が必要である。時間に関しては技術をもつ研究協力者に支援をお願いし、モデルマウスの入手に関しては多くのモデルマウスが使用できるよう飼育数を増やすことを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の実験試薬・物品購入において計画通りの実験が遂行できなかったため。
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