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2019 年度 実施状況報告書

食事制限による肝虚血再還流障害の制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K08609
研究機関公益財団法人田附興風会

研究代表者

寺嶋 宏明  公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第1研究部, 研究主幹 (40314215)

研究分担者 内田 洋一朗  京都大学, 医学研究科, 助教 (30597745)
渡邊 武  公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第1研究部, 研究員 (40028684)
岡島 英明  京都大学, 医学研究科, 准教授 (20308604)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード肝虚血再灌流障害 / 食事制限 / 絶食 / FOXO1 / βヒドロキシ酪酸 / アセチル化ヒストン / 肝臓外科 / 肝移植
研究実績の概要

肝臓外科領域における肝切除術や肝移植では、虚血再灌流障害の予防・軽減が安全かつ確実な手術を行うために必要であり、酸化ストレス・炎症性サイトカイン・各種免疫細胞などの相互作用、類洞内皮細胞障害や微小循環障害などが知られている。
本研究は、短時間の食事制限による肝虚血再灌流障害軽減の分子機構の解明を、核内転写因子Forkhead Box O1(FOXO1)に着目して遂行している。
2018年度は、肝虚血再灌流障害におけるFOXO1を介した抗炎症効果の作用機序の解明につき野生型マウスを用いて検討した。肝組織中FOXO1の経時的発現変化をウエスタンブロット法にて解析し、絶食群ではFOXO1の増加を認め、FOXO1の代表的誘導物質であるHO-1も増加した。免疫染色では、FOXO1発現細胞の多くは形態的に血管内皮細胞や肝細胞である可能性が示唆された。
2019年度は、FOXO1発現上昇に関して、どのような分子メカニズムが関与しているのかについて解析した。肝臓でのFOXO1増加に関連する経路として、①虚血中ATP低下によるAMPKαの活性化、②insulin-PI3K(Phosphoinositide 3-kinase)-AKT経路、③嫌気性代謝によるβヒドロキシ酪酸(BHB)の増加につき検討し、肝組織中FOXO1発現と血清BHBに有意な相関が得られた。
これらの知見によりPNASへの論文化に至った(Up-regulation of FOXO1 and reduced inflammation by β-hydroxybutyric acid are essential diet restriction benefits against liver injury. Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 116:13533-42,2019)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2018年度および2019年度で得られた核内転写因子Forkhead Box O1(FOXO1)に着目した新しい知見を元に、国際雑誌PNASへの論文化に至ったため(Up-regulation of FOXO1 and reduced inflammation by β-hydroxybutyric acid are essential diet restriction benefits against liver injury. Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 116:13533-42,2019)。

今後の研究の推進方策

2018年度および2019年度の成果より、FOXO1増加に寄与する因子の同定が行うことができた。2020年度には、FOXO1がどのように肝障害軽減に寄与しているのか、機序解明を行いたいと考えている。方法としては、細胞腫の同定を蛍光免疫多重染色によりすすめる予定であり、細胞種によっては分離/培養し、siRNA/shRNAを用いてノックダウンを行い、Vitro実験にて検証する。
また、食事制限に伴う肝虚血再灌流障害軽減に起因する内因性生体制御維持機構の解明のために、腸内細菌叢およびその産生有機酸解析、さらには網羅的遺伝子発現解析を行うことを考えている。

次年度使用額が生じた理由

得られた研究成果を元に、論文(国際雑誌:Proceedings of the National Academy of Sciences)としてまとめたために、予定していた研究を次年度に持ち越すことになったため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Up-regulation of FOXO1 and reduced inflammation by β-hydroxybutyric acid are essential diet restriction benefits against liver injury2019

    • 著者名/発表者名
      Miyauchi Tomoyuki、Uchida Yoichiro、Kadono Kentaro、Hirao Hirofumi、Kawasoe Junya、Watanabe Takeshi、Ueda Shugo、Okajima Hideaki、Terajima Hiroaki、Uemoto Shinji
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences

      巻: 116 ページ: 13533~13542

    • DOI

      https://doi.org/10.1073/pnas.1820282116

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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