研究課題
申請者らは、TGF-βシグナル伝達経路に異常を有する大腸癌には、2つの異なる発癌の分子メカニズムが存在することに着目し、「TGF-βシグナル伝達経路に異常を有する大腸癌は、シグナルの受容体であるTGFBR2もしくはACVR2Aに遺伝子変異をもつ群(受容体変異群)と、細胞内におけるシグナル伝達の調節因子であるSMAD2もしくはSMAD4に遺伝子変異をもつ群(調節因子変異群)とに分類することができる」という仮説を立て、本研究を企画した。本研究の目的は、「受容体変異群と調節因子変異群について、病理像・臨床像・人種差・蛋白質発現を解析し、発癌の分子メカニズムの違いに着目した大腸癌TGF-βシグナル伝達経路の分類における研究基盤を確立すること」である。本年度は、TGF-βシグナル伝達経路に異常を有する大腸癌の病理像と遺伝子変異の特徴について解析した。その結果、遺伝子変異が蓄積する分子サブタイプであるTumor mutational burden-high(TMB-H)において、腫瘍内リンパ球浸潤が多く認められ、TGFBR2もしくはACVR2Aの遺伝子変異が多く認められることを明らかとした。また、大腸癌の病理標本スライドには、TMB-H大腸癌の特徴が表現されているとの仮説の基に、TMB-H大腸癌を病理標本スライドから予測する人工知能の開発を行った。そして、その結果を下記の英文論文にまとめて発表した。Shimada Y, et al. Histopathological characteristics and artificial intelligence for predicting tumor mutational burden-high colorectal cancer. J Gastroenterol. 2021. doi: 10.1007/s00535-021-01789-w.
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Journal of Gastroenterology
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10.1007/s00535-021-01789-w