研究課題/領域番号 |
18K08614
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
川嶋 啓揮 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (20378045)
|
研究分担者 |
廣岡 芳樹 藤田医科大学, 医学部, 教授 (50324413) [辞退]
大野 栄三郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (00447822)
宮原 良二 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (50378056) [辞退]
中村 正直 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60467321)
舩坂 好平 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (70599034) [辞退]
古川 和宏 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (70624310)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 十二指腸乳頭部癌 / 内視鏡的切除 / 免疫染色 / AI診断 / 進展度診断 |
研究実績の概要 |
免疫染色による診断:平成30年度までに乳頭部腫瘍症例の手術摘出標本14例と、内視鏡的切除術による摘出標本11例を選択した。これらの最終病理診断は、adenoma (n=5)、T1a adenocarcinoma (n=5)、T1b adenocarcinoma (n=3)、T2 adenocarcinoma (n=5)、T3 adenocarcinoma (n=7)であった。これらに対しIMP3、S100P、MUC5ACの免疫染色を施行した結果、病理学的進行度と染色形態の関係はIMP3での認められた。adenomaとT1a adenocarcinomaの腫瘍(疫学的に局所切除可能と考えられる腫瘍)とT1b adenocarcinoma以上の腫瘍(疫学的に外科的手術が必要な腫瘍)では、陽性細胞の比率に有意差が認められ、cut off値を設定することにより切除標本では正診率80%で診断可能であることがわかった。令和元年度は同じ症例の生検組織検体に対し、IMP3の免疫染色を施行した。複数個採取したものについては最も陽性細胞の比率が高いものを採用して検討すると摘出標本とほぼ同様の結果が得られることがわかった。現在、論文化に向けて準備中である。 コンピューター支援画像診断(CAD)による診断:平成30年度までに正常例100例と乳頭部腫瘍50例のサンプルを用いた診断で、内視鏡所見をそのまま読み込ませるdeep learningは不可能であることがわかった。理由として、内視鏡所見から乳頭部を判別するのが困難であることが考えられたため、内視鏡所見から正常、腫瘍それぞれ乳頭部のみをデジタル画像を用いて切り出し再度試行することとした。令和元年度は150例の画像サンプルの切り抜きを施行しdeep learning施行したが腫瘍、非腫瘍の鑑別が出来る程度の診断精度であり改善が必要と考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
免疫染色による診断については予想より少ない症例数で結果が出て、摘出標本と生検組織で同様の結果が得られたため術前診断に応用可能であり論文化している。また将来の実用化についても可能性が高いと考えられる。CADを用いた診断については正常乳頭と進行癌の区別も困難な状況からのスタートとなり、腫瘍部だけの切り抜き、大きさなど他情報の入力などの追加処置をしても腫瘍・非腫瘍の診断が出来る程度の診断精度しか得られず大幅な遅れが認められる。
|
今後の研究の推進方策 |
免疫染色を用いた診断については、生検組織での診断能を後方視的に確認して、摘出標本と同様の結果が得られたので、実用化に向けて前向きに検討を進めていきたい。 CADを用いた診断についてはデジタルデータの切り抜き、臨床情報の入力など労力と時間を要する処理をしても診断精度が満足いくものではなく、新たな方法を模索する必要がある。
|
次年度使用額が生じた理由 |
免疫染色については有用な免疫染色がIMP3一つだけであり、症例数も予想よりも少ない症例で結果が出てたため。 CAD診断については他の研究で使用しているソフトの範疇を超えることが困難であり、新規ソフトを購入できずにいるため。
|