研究課題/領域番号 |
18K08620
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山崎 章生 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80404440)
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研究分担者 |
大西 秀哉 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30553276)
今泉 晃 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (30624051) [辞退]
三好 圭 九州大学, 大学病院, 助教 (70755272)
永井 俊太郎 九州大学, 大学病院, 助教 (90755240)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 胆嚢癌 / GLI2 / Hedgehogシグナル / 増殖能 / 浸潤能 / 新規治療法開発 / 悪性形質誘導 / 抗腫瘍効果 |
研究実績の概要 |
本研究の主目的は、Gli2シグナル経路を標的とした新規胆嚢癌治療法を開発することである。In vitroではGLI2の抑制が増殖能抑制に寄与することが前年度の実験で分かったので、今年度はまず、免疫不全マウスを用いて、control siRNAおよびGLI2 siRNAを導入した胆嚢癌細胞株を皮下移植して、腫瘍形成能、増殖能、転移形成能を解析した。結果として、GLI2を抑制した胆嚢癌細胞は、有意に増殖能が低下することが分かった。しかし、腫瘍形成、転移形成には著変が認められなかった。次に形成された腫瘍をalphaSMA、Masson Trichrome、Ki67で染色した。Masson Trichrome染色では両者に差は認められなかったが、alphaSMA、Ki67の発現はGLI2を抑制した胆嚢癌細胞移植群で有意に低下した。この結果は、GLI2抑制により胆嚢癌の線維化が抑制され、増殖が低下していることを示唆している。癌の線維化形成は癌微小環境として現在非常に注目されてきている。TGF-betaが癌線維化誘導に関与することも報告されているため、GLI2抑制によるTGF-beta発現についても解析したが、GLI2抑制はTGF-beta発現には影響を及ぼさなかった。今年度は、胆嚢癌の手術切除標本を用いて、癌の微小環境の一つである免疫細胞浸潤についても解析するため、GLI2に加えCD3、CD8、PD-L1、FOXP3の免疫染色を行い、胆嚢癌におけるGLI2発現意義解析として臨床病理学的因子の単変量解析を行う予定である。予後予測因子の可能性も検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胆嚢癌においてGLI2が増殖、浸潤に関与しており、新規治療標的となることが、In vitro、In vivoの実験で証明できた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、胆嚢癌の手術切除標本を用いて、癌の微小環境の一つである免疫細胞浸潤についても解析するため、GLI2に加えCD3、CD8、PD-L1、FOXP3の免疫染色を行い、胆嚢癌におけるGLI2発現意義解析として臨床病理学的因子の単変量解析を行う予定である。予後予測因子の可能性も検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫不全マウスを用いた治療実験が順調に遂行でき、予定していたマウス数を必要としなかったことが考えられる。今年度は、胆嚢癌の手術切除標本を用いて、癌の微小環境の一つである免疫細胞浸潤についても解析し、胆嚢癌におけるGLI2発現意義解析として臨床病理学的因子の単変量解析や予後予測因子の検討を行う予定で、これら実験に使用したい。
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