研究課題
本研究の主目的は、Gli2シグナル経路を標的とした新規胆嚢癌治療を開発することである。本年度は、まず、胆嚢癌66例の手術切除標本を用いて、Gli2発現、癌微小環境因子としてCD3、CD8、FOXP3、PD-L1の発現解析を行った。Allred scoreによる評価でGli2発現を高発現、低発現の2群に分けたところ、2群間の全生存には有意差は認められなかった。In vitroの結果で、Gli2発現がgemcitabine感受性亢進に関与する結果を得ていたために、gemcitabine治療症例に限定してGli2高発現、低発現の2群に分けて全生存を検討したところ、Gli2高発現の症例が有意に生存率が高いこと、即ち、Gli2が発現している症例はgemcitabine治療がよく奏功していることが示唆された。また、Gli2高発現症例で、CD3リンパ球浸潤数、CD8リンパ球浸潤数が低いこと、CD8/FOXP3比が低いこと、およびPD-L1発現は高いことが示された。また、CD3、CD8、FOXP3、PD-L1の高発現群、低発現群の2群で全生存のkaplan-Meier解析を行ったが、単変量解析、多変量解析共に、予後予測因子とはならなかった。本研究結果より、胆嚢癌においてGli2は腫瘍免疫逃避に関与していることが示唆される。また、今回の研究で低酸素環境とGli2発現にも潜在的な連関の可能性が見出され、これら結果はHhシグナル、低酸素環境、PD-L1発現、免疫細胞浸潤はお互いに影響しあって、癌微小環境を形成していることを示唆している。
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