研究課題
【具体的内容】肝臓移植術後の移植肝は拒絶反応、感染症、虚血再灌流障害、原疾患再発、過小グラフト症候群などの様々な機能的変化や病態を示す。それらを正確に診断し、的確な治療方針を決定するのは容易ではない。現状では、臨床症状の把握、血液生化学的検査と画像診断などが行われ、それでも診断が困難な場合は肝生検が施行される。しかし肝生検は出血・感染リスクがあり、特に移植後早期の患者にとっては侵襲的な検査であるものの万能ではなく、最終診断が困難な場合も少なくない。そこで、新たな非侵襲的な検査方法が待望されている。肝臓移植術後の移植肝の胆管に挿入された外瘻チューブから胆汁を7、10、14、17、21、24、28、35、38、42病日に1ml、サンプリングした。胆汁中からmiR221を抽出した。2019年6月から2020年10月まで教室で施行した生体肝移植症例のうち同意が得られた11例を対象とした。11例のうち、肝生検にて拒絶反応の診断ができた症例は2例で、各々11病日、19病日に診断された。拒絶の程度は各々、P2V1B1、P1B1V2の5点であった。miR221はこれらの症例で、各々7病日、14病日からレベルが低下していた。拒絶反応を認めなかった9例では、経過観察中、いずれもmiR221の有意な低下を認めなかった。【意義】周術期にはグラフトは再生しているためmiR221が発現亢進している。拒絶反応があり、再生のプロセスが阻害されると、miR221の発現も抑えられる可能性がある。【重要性】胆汁中のmiR221レベルの測定で、肝移植後の拒絶反応の診断ができる可能性が示唆された。
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