研究課題/領域番号 |
18K08626
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
蔵原 弘 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (70464469)
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研究分担者 |
又木 雄弘 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任講師 (10444902)
前村 公成 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (30398292)
新地 洋之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (60284874)
夏越 祥次 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70237577)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 網羅的スクリーニング / 癌遺伝子 / microRNA / EUS-FNA / 術前治療 / 化学放射線療法 / 再発 |
研究実績の概要 |
・膵癌に対する網羅的microRNAスクリーニングにより,miR-130b-5pとmiR-130b-3pが膵癌組織にて有意に低発現していることを発見した.miR-130b-5pの過剰発現は膵癌細胞の増殖能や浸潤能を低下させた.EPS8遺伝子はmiR-130b-5pにより直接制御され,EPS8の過剰発現は膵癌細胞の悪性度を増加させた.EPS8の発現を低下させると膵癌細胞の増殖能や浸潤能は著明に低下した.miR-130b-5p/EPS8のネットワークは膵癌治療における新たな治療戦略となり得る. ・さらにmiR-204-5pも膵癌組織で低発現していることを見出した.miR-204-5pを過剰発現させると膵癌細胞の浸潤能を著明に低下させた.miR-148a-5pはRACGAP1遺伝子の発現を調整しており,RACGAP1の発現を低下させると膵癌細胞の浸潤能は著明に低下した.miR-204-5p/RACGAP1のネットワークも膵癌治療における新たなターゲットとなり得る. ・膵癌腫瘍の治療前のEUS-FNA(超音波内視鏡下生検)による生検検体を用いたGLUT-1(glucose transporter type 1)の発現を免疫染色にて評価した.手術先行症例100人と術前化学放射線治療を受けた97人の膵癌症例において検討した.GLUT-1の低発現は化学放射線療法による高い腫瘍縮小効果,高い切除率,さらに良好な予後と有意に相関していた.GLUT-1の発現がFDG-PETの集積値と相関していることを明らかにした.治療前のFDG-PETの集積値が膵癌に対する術前治療の適応判断に有効である可能性がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
網羅的miRスクリーニングによる癌抑制的microRNAによる膵癌の悪性度獲得のメカニズムの解明や治療前のEUS-FNA(超音波内視鏡下生検)検体を用いた治療抵抗性の予測に関する研究は順調に進んでいるが,網羅的shRNAスクリーニングにより同定した新規膵癌転移抑制遺伝子による転移制御のメカニズム解析がまだあまり進んでいない.
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今後の研究の推進方策 |
現在までに行った網羅的miRスクリーニングにより同定した癌抑制的microRNAによる膵癌の転移能や治療抵抗性獲得のメカニズム研究を進める. 治療前のEUS-FNA(超音波内視鏡下生検)検体を用いた転移能や治療抵抗性の予測の正確性の向上を目指して,更に多くの分子を用いて検討をすすめる. 網羅的shRNAスクリーニングにより同定した新規膵癌転移抑制遺伝子による転移制御のメカニズム解析も膵癌細胞株を用いて基礎的検討から進める.
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