研究課題
切除不能膵癌に対する化学療法の抗腫瘍効果の評価と薬剤耐性の早期予測は、膵癌患者の長期生存に最も重要であるが、現在、有用なバイオマーカーはない。そこで、本研究は原発・転移巣から血中に循環するcirculating cell-free tumor DNA (ctDNA)の変異解析をモニタリングすることにより化学療法中の膵癌患者の薬剤に対する反応性および耐性を早期に予測できるctDNAの変異を同定することを目的とした。本研究では膵癌患者の血漿から抽出したcell-free DNAを用いて、癌特異的に変異を認める197遺伝子の標的領域の変異を高感度に検出できるCancer Personalized Profiling by deep Sequencing (CAPP-Seq)により、ctDNAの変異頻度を定量する独自の方法で行った。本研究では、10例の膵癌に対して、採取した血液を用いて、CAPP-Seqによる網羅的ctDNA変異解析を行った。化学療法開始後に、RAS family遺伝子のctDNA変異が検出された症例は、progressional disease free survival (PFS)ならびにoverall survival (OS)とも不良であった。画像診断において、腫瘍が縮小した際には、ctDNA変異のallele fraction は0近くまで低下し、腫瘍が増大した際には、ctDNA変異のallele fraction は増加した。このことから、CAPP-SeqによるctDNA変異頻度は、膵癌における化学療法の反応性に相関し、ctDNA変異解析をモニタリングすることで、耐性のメカニズムが解明できることが分かった。
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Ann Surg Oncol
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