研究課題/領域番号 |
18K08632
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
樋口 亮太 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (20318059)
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研究分担者 |
有泉 俊一 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (40277158)
山本 雅一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60220498)
長嶋 洋治 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (10217995)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 胆道癌 / 胆管癌 / 胆嚢癌 / 糖鎖 / マーカー / CA19.9 / WFA / MUC1 |
研究実績の概要 |
胆道癌は、周囲の脈管を含めた解剖学的部位の複雑性、癌進展様式の多様性のため,最新の画像診断を駆使しても早期発見が難しい。そのため早期癌の段階での外科切除例は少なく、また、転移を起こしやすいため予後不良であることが知られている。治療成績の向上には、早期診断のための新しい分子マーカーの開発と診断システムの確立が重要である.糖鎖は「細胞の顔」とも呼ばれ,上皮細胞の表面形質である粘液糖蛋白の糖鎖構造は癌化により変化する.糖鎖を合成する遺伝子群(糖鎖遺伝子)のスイッチが正常細胞と癌細胞では異なることが関係する.既存の腫瘍マーカーの多くは糖鎖抗原である.コア蛋白に付加した糖鎖は,癌の発生や進展とも密接にリンクしている.グライコミクスの手法により,新規糖タンパク質マーカーとしてWFA-MUC1が探索された. WFA-MUC1は従来の胆道癌のマーカーであるCA19-9に対して感度面で優位性を示した.血清WFA-MUC1に関しては,胆管癌では良性胆道疾患や対照に比較して高値であり、特に早期の病変でCA19-9に対する有意性を示した。胆嚢癌においても、良性疾患に対して高値を示したが、胆嚢炎症例にて高値を示す例が観察されるため、疑陽性を生じる病態の特徴を検討中である。胆汁WFA-MUC1に関しては,胆管癌では血清とコンビネーション診断することで正診率を上昇できそうである。胆嚢癌では胆汁の粘度が高いため調整が必要であるが、血清と組み合わせて検討することで診断率を上昇させることができるか検討中である。 新規バイオマーカーのWFA-MUC1は,今後の胆道癌診療の向上に大きく貢献できる可能性がある.多施設臨床試験を継続中で、最終解析と実用化のための試験準備中である.現在、WFA-MUC1測定キットが完成し簡便に測定することができるようになっており、実用化に向けて検討を加速化させたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
胆道癌バイオマーカー研究で用いる血清や胆汁を収集するための多施設共同臨床試験の サンプル集積に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
多施設共同臨床試験の実施施設からの胆道癌の臨床標本の収集を加速させる. すでに独自にサンプルを集積していた研究者からの研究参加の了承が得られたため、研究協力施設として加わっていただき、集積サンプル数を大幅に増やす。
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次年度使用額が生じた理由 |
胆道癌バイオマーカーに関する大学間の多施設共同臨床試験のサンプル収集が遅れている.このことより,物品購入などが遅れ,助成金の次年度使用額が生じた.
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