研究課題/領域番号 |
18K08638
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター) |
研究代表者 |
森田 勝 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 統括診療部長 (30294937)
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研究分担者 |
藤 也寸志 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 院長 (20217459)
池部 正彦 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 消化管外科医長 (50380390)
沖 英次 九州大学, 大学病院, 講師 (70380392)
太田 光彦 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 消化管外科医長 (70432937)
佐伯 浩司 九州大学, 大学病院, 講師 (80325448)
益田 宗幸 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 頭頸科部長 (90284504)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 食道癌 / 頭頸部癌 / 口腔内細菌叢 / 癌抑制遺伝子 / 酸化的DNA損傷 / 喫煙 / 飲酒 |
研究実績の概要 |
食道・頭頸部領域(UADT)の癌の発生には喫煙、飲酒が強く関与している。本研究は、食道癌・頭頸部癌の発生状況を疫学的に検索するとともに、発癌の分子生物学的機序を解明する。さらにこれらを難治性の食道癌・頭頸部癌の予防・治療につなげることを目的とする。 本年度は、1)喫煙・飲酒が関与するとされる口腔内細菌叢の変化とUADTの発癌に着目し検討をすすめ、論文として発表した。2)喫煙・飲酒、放射線照射などのDNA損傷とその修復についての研究の一環として、DNA2重鎖切断を修復するRad 51に着目して研究を進めてきた。今回、食道癌の術前治療の効果のバイオマーカーとしてのRad51の意義についての他施設共同研究の結果を論文化した。3)さらに頭頸部癌の発癌に重要な細胞内シグナルHippo経路についての研究の論文が掲載された(平成30年度報告参照)。 1)口腔内細菌叢の変化と頭頸部・消化管癌に関する研究:頭頸部・消化管癌患者59例および対照群118例の口腔内細菌叢を検索した。その結果、癌患者では11種類の細菌が有意に多く、特に、舌癌・咽頭癌・食道癌で細菌叢の多様性が著明であった。また癌の臓器と口腔内細菌に関係を認めた。以上より、口腔内細菌叢の変化は頭頸部・消化管癌と深く関与し、その変化は癌の臓器特異的であることが示された。 2) 食道癌術前治療の効果予知バイオマーカーとしてのRad51の意義に関する研究:DNAの損傷修復タンパクRad51を含む複数の癌関連タンパクの発現を食道癌656例で検索し、術前化学(放射線)療法の治療効果との相関を検索した。その結果、p53, p21, MTH1, PD-L1の発現と治療効果には相関を認めなかったのに対し、Rad51の発現が高いほど治療効果が不良であった。したがって、Rad51の発現は化学(放射線)療法の治療効果のバイオマーカーになることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は計画通りに遂行でき、その成果は下記の如く、欧文誌に掲載または受理された。 1) 口腔内細菌叢の変化と頭頸部・消化管癌に関する研究 Kageyama S, Morita T, Masuda M, Toh Y et al. Front. Microbiol. 2019 2) 食道癌術前治療の効果予知バイオマーカーとしてのRad51の意義に関する研究 Saeki H, Morita M, Oki E et al. Ann Surg (in press) 3) 扁平上皮癌発症におけるHippo経路の役割に関する研究 Omori H, Masuda M et al. Sci Adv. 2020
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今後の研究の推進方策 |
喫煙・飲酒等の環境因子→口腔内細菌叢の変化→UADT癌の発生の仮説をたて、それぞれの変化の相関を見て検証していく。また、UADTの扁平上皮癌の発癌・進展におけるRad 51, Hippo経路に関する研究を環境因子の暴露にも注目して研究を進めるとともに、環境因子が癌抑制遺伝子、酸化的DNA損傷等に及ぼす影響についても検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度に研究報告などに費用がかかるため、一部を来年度の研究費にすることとした。
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