研究課題/領域番号 |
18K08640
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
深瀬 耕二 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (00578677)
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研究分担者 |
有明 恭平 東北大学, 大学病院, 助教 (10754921)
大塚 英郎 東北大学, 大学病院, 助教 (50451563)
高舘 達之 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助教 (50772216)
海野 倫明 東北大学, 医学系研究科, 教授 (70282043)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | GCF2 / 胆管癌 / 移動能 / 浸潤能 / 予後解析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は消化器癌の転移・浸潤能に深く関与していることが示されたGCF2における遺伝子変異解析を行うことで,癌転移メカニズムを解明し,新規分子標的治療薬のターゲットとしての可能性を立証することにある. 申請者はこれまでGCF2の発現抑制が,大腸癌において肝転移を抑制すること,膵癌細胞株を用いた検証においてEMT抑制効果を明らかにし,GCF2が消化器癌における転移・浸潤機能に重要な役割を果たしていることを示してきた.近年網羅的解析によって乳癌におけるGCF2のserine-rich regionに遺伝子変異が報告され,消化器癌においても胆管癌において,高率に変異が認められるとの報告もあることから,申請者は消化器癌の中でも特に胆管癌におけるGCF2の役割に注目し研究を開始した. 本年度は胆管癌におけるGCF2の役割に注目し研究を行った.研究は胆管癌における変異解析を行うとともに,これまでなされていなかった胆管癌におけるGCF2の機能解析を施行することとした.変異解析については,GCF2のプライマーを設計し,胆管細胞株における変異解析の準備を整えるとともに,胆管癌の切除症例を対象とした予後解析を行い,臨床検体を用いた変異解析における対象疾患の絞り込みを行った. また機能解析については,胆管癌におけるGCF2の発現がその機能に影響についてを検証すべく,胆管癌細胞株を用いて,GCF2の発現を調整したのちに,移動能や浸潤能といった機能についての評価解析を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では胆管癌において,GCF2のcoding regionに存在する変異部位及びその頻度を評価し,変異による機能解析を行うことで,癌の転移浸潤メカニズムを解明することにある.遺伝子の変異解析については,細胞株を用いた変異の評価を行ったのちに,予後データもあり症例数も確保されているFFPEからのデータを用いた解析を計画している.また胆管癌においてGCF2の発現を抑制することで,その機能評価を行ったのちに,変異部位が及ぼす影響について評価する予定である. 遺伝子解析として①癌細胞株を用いた解析,②凍結標本を用いた解析の準備として対象疾患の絞り込みや,プライマー等の準備などが済んでおり概ね順調に進捗しているものと考えられる.胆管癌細胞株を用いた機能解析については,最終的には変異部位が胆管癌に及ぼす機能を評価することを目標に据えているが,これまで胆管癌においてGCF2の発現が及ぼす影響について検証されていないこともあり,まずはその機能解析が必要と判断した.このため細胞株を用いて,これまで当科で行ってきたsiRNAを用いた検証を行うことで,GCF2が胆管癌でも移動能や浸潤能,さらにはEMTなどのメカニズム関与するかについて検証を行うべく,現在機能解析を行っている.こちらも現段階での進捗状況としてはおおむね順調に進行しているものと判断する.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は3年での研究を予定している.次年度は,臨床検体を用いた解析を行う前に,変異部位についてのあたりをつけるために,胆管癌における各種細胞株を用いた遺伝子変異解析を行うことを予定している.またこれに並行して細胞株を用いた機能解析を進める予定である.機能解析としては,我々は特に消化器癌においてはGCF2がEMTに何らかの影響を及ぼしていると考えており移動・浸潤能について評価を行うとともに,抗癌剤の感受性といった機能についても評価していきたいと考える.またそのメカニズムを説明するうえで,発現量のよる評価を行うとともに,変異部位を同定しその部分での細胞内でのinteractionを評価することで,どのシグナルに影響を及ぼしているのかを検証していきたいと考えるが,これは3年目になるものと予想している.
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次年度使用額が生じた理由 |
次世代シーケンサーでの遺伝子解析に若干の遅れが出ており、次年度への繰り越しが発生した。次年度請求分とあわせて使用予定である。
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