研究課題/領域番号 |
18K08644
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊神 剛 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (50420378)
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研究分担者 |
梛野 正人 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20237564)
江畑 智希 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (60362258)
國料 俊男 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60378023)
山口 淳平 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00566987)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | リアルタイムナビゲーションシステム |
研究実績の概要 |
術前のシミュレーション画像を腹腔鏡の動作にリンクさせてカーナビゲーションシステムの如くモニター表示する、磁気式位置センサーを用いたリアルタイムナビゲーションシステムの開発をおこなった。名古屋大学大学院情報科学研究科-森研究室で独自に開発された“New-VES”システムを用いて。3D構築画像の作成が可能な New-VESシステムによる仮想肝臓を作成した。 仮想化画像と腹腔鏡画像を連動させ、実際の位置情報と仮想化画像を比較し、リアルタイムナビゲーションをするためには、位置情報における認識精度の向上と物理的変位(呼吸、心拍、体位、手術操作など)などに対する補正システムが必要である。患者体位を仰臥位とし、磁気式位置センサーでの患者各部位のコンピューターへの登録後、患者の頭側腹側約30cmの位置に固定アームを用いて磁気式位置センサー用発信機を設置と腹腔鏡の操作部にマイクロ磁気センサーの装着を行なった後、腹腔鏡下肝切除術を施行した。術中の実画像と仮想画像とのズレ(Fiducial registration error)を検討した。 初期5例では実画像と仮想画像とのズレ(Fiducial registration error)は平均17.7mmであった。FREの改善のため、X線マーカーを用いて、患者の各部位を術前登録した後期8例のFREは、平均10.5mmと改善した(p = 0.025)。 体位変換によるずれを改善するため、術中体表に磁気式位置センサーを装着し術中自動位置補正を行った8例では、術前後でFREのずれはなかった。磁気センサーを用いたリアルタイムナビゲーションシステムは、腹腔鏡下肝切除術の手術支援システムとして応用可能であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
名古屋大学大学院情報科学研究科-森研究室で独自に開発された“New-VES”システムを用いて3D構築画像の作成が可能な New-VESシステムによる仮想肝臓を作成した。また実画像と仮想画像とのズレ(Fiducial registration error)に関してX線マーカーを用いた患者の各部位を術前登録により改善させることができた。順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
術前のシミュレーション画像を腹腔鏡の動作にリンクさせてカーナビゲーションシステムの如くモニター表示する、磁気式位置センサーを用いたリアルタイムナビゲーションシステムの開発を継続する。位置情報を認識する方法として、光学式と磁気式がある。光学式の問題点として、腹腔鏡下手術で用いられる鉗子・機器などにより光が遮断され、その情報が得られない場合がある。我々の用いている磁気式の問題点として、情報の遮断はおきないが、体表から位置情報の認識では、実際の位置とバーチャル画像に誤差が生じ、位置情報における認識精度が不十分であることがあげられる。磁気式における認識精度の向上のためにはセンサーを先端化した新たな機器の開発が必要である。 腹腔鏡シミュレーションボックスにて新たに開発した腹腔鏡の操作性(可動域、視野の範囲など)、耐久性などその有効性を明らかにする。物理的変位に対する補正システムとして、モデル肝臓を用いて呼吸、心拍に対する補正システム、さらに手術時の体位変換、手術操作による肝の授動に対しても可能な補正システムを開発する。また新たなナビゲーションシステムとして腹腔鏡直視外のナビゲーションが可能なシステム、腹腔鏡画像への仮想肝臓画像の重畳表示により切離予定部位を認識できるシステムを開発する。これらのシステムに関して仮想肝臓での肝切離線、切離面などが実際のヒト切除肝臓との比較検討により有効性を明らかにする。さらにブタを用いて磁気式マイクロセンサー腹腔鏡の操作性、安全性などについても検討する。
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