研究課題/領域番号 |
18K08650
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
北島 吉彦 佐賀大学, 医学部, 客員研究員 (30234256)
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研究分担者 |
田中 智和 佐賀大学, 医学部, 助教 (60781903)
能城 浩和 佐賀大学, 医学部, 教授 (90301340)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Mieap / MALM / hypoxia / ROS |
研究実績の概要 |
(研究成果)2細胞株:Mieapを発現する胃癌細胞株MKN45およびMieap発現のない胃癌細胞株。MKN45-Mieapノックダウン株:KDおよびコントロールSC株。MKN45は低酸素下にて活性酸素(ROS)産生上昇なく、低癌浸潤能。58As9は低酸素下にてROSが上昇し、高癌浸潤能を示した。MKN45では低酸素下でライソソームのミトコンドリア内侵入が見られ、ミトコンドリア品質管理機構が正常に作動する結果、ROS産生が制御され癌浸潤を抑制していることが推測された。一方、58As9では低酸素下でライソソームのミトコンドリア内侵入は見られず、ミトコンドリア品質管理機構が破綻した結果、ROS上昇し癌浸潤が亢進していると推測された。MKN45の低酸素下ライソソーム侵入がMieapを介して行われていることをKD, SC株を用いて証明した。KD株では58As9と同じように低酸素下にてROSが上昇し、高癌浸潤能を示した。また、Mieap発現があると低酸素下にてライソソームタンパクであるカテプシンDがミトコンドリア分画に認められることをウエスタンブロットにて証明した。 以上の研究結果をScientific Reportsに投稿し、受理された。 Mieap-induced accumulateon of lysosomes within mitochondria (MALM) regulates gastric cancer cell invasion under hypoxia by suppressing reactive oxygen species accumulateon. Sci Rep (2019) 9:2822
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
既に申請した研究計画は完了し、論文投稿さらに受理まで達成している。さらに現在、新たな研究計画を立案し、研究を遂行している。よって、当初の計画以上に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
(今後の研究の推進方策) MKN45では、低酸素誘導性MALMによりライソソームがミトコンドリア内に侵入し、何らかのミトコンドリアタンパクを消化することでミトコンドリア品質管理(MQC)を維持し、ROS産生を制御し癌浸潤能を抑えていることが推測された。そこでH31年2月よりiTRAQ法を用いてプロテオーム解析に着手している。 (iTRAQによるプロテオーム解析) 目的:MQCが正常作動するMKN45とMQCが破綻している58As9の2株より、常酸素環境および低酸素環境下48時間で各細胞よりミトコンドリア分画を採取し、タンパク抽出液を調整した。その後トリプシン処理を行い、4種の色素でそれぞれのミトコンドリア由来ペプチドをラベリングし、MS/MSにて質量分析した。その結果、低酸素環境下48時間で培養したMKN45で常酸素環境に比し、極端に発現量が減少するミトコンドリアタンパクを5種類抽出することに成功した。今後は、これらのタンパクに対する抗体を入手し、さらに解析を継続していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に計画した実験を遂行した結果、予想を上回りスムースに実験が進み、次年度使用額301,346円が生じた。令和元年では、さらに高度なプロテオーム解析、その結果に応じたsiRNAトランスフェクション実験等を予定しているため、次年度使用額として301,346円を令和元年度使用予定額に合算して使用したい。
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