本研究は以下のことを解明する目的におこなった。①胃癌の炎症発癌に関与するCDX2発現の制御を実際の胃癌患者検体にて検討する。②胃癌におけるCDX2の発現と臨床病理学的因子との関連解析を行う、その中で、治療や予後のバイオマーカーとしての有用性も検討する。③炎症発癌の胃癌に対するIL-6阻害剤の有用性も検討する。 CDX2はヘリコバクター・ピロリ菌感染によって誘導され、胃粘膜の腸上皮化生を引き起こし胃癌の発生に関与する。細胞実験での我々の検討では、CDX2はIL-6/STAT3シグナルの活性化に伴いその発現が抑制されることから、ピロリ菌感染時とは異なる機序がCDX2の発現に関与することが示唆された。胃癌切除検体と手術前後の患者血清を用いてCDX2発現と炎症のメディエーターの発現(IL-6/STAT3シグナルとピロリ菌感染)を検討する必要性があると考えられ、患者血清の採取と胃癌切除検体の収集を進めた。最終的に、40例の患者血清と切除検体を収集することが出来、ELISAでのIL-6測定と免疫染色でのCDX2発現の評価をおこなった。
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