研究課題
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の病態進展にマクロファージ(MΦ)の活性化は重要な役割を演じている。種々のシグナル伝達物質により活性化されたMΦは炎症型のM1型と抗炎症型のM2型に分極することが知られている。我々は様々な肝硬変モデルやMΦ細胞株を用いてSアリル化合物によりMΦの分極を制御できることを報告してきた。本研究の目的はSアリルグルタチオン(SAG)によるMΦ分極制御を介したNAFLD/NASH病態の進展抑制効果を検討することである。同時にMΦの分極に関与する生理活性セラミドを病態別に解析することで、NAFLD/NASHの病態増悪の関与するセラミド分子種を同定し、新規バイオマーカーとなりうるかを検討する。初年度である平成30年度は既報を参考に下記のNAFLDモデルラットを作成した。すなわちSprangue-Dawley雄性ラットに高脂肪食(脂質エネルギー比40%)にコレステロール2.5%付加を与え20週、30週、40週まで飼育し、脂肪肝並びに肝線維化の進行状態を確認したが、脂肪肝のみで線維化が生じないことが判明した。そこで高脂肪食を新規食餌内容に変更し、21週後に肝脂肪化および線維化を確認したところ高度な脂肪化、酸化ストレス関連タンパクの増加並びにマクロファージの分極の変化、軽度の線維化を確認できた。さらに同モデルに肝での慢性炎症由来の線維化を惹起するため、よりヒトNAFLD病態に近いモデル作成のため新規モデルを作成中である。予定より実験進行は遅れているが、プレリミナリーな実験ではより有用なモデルが作成できたため、次年時以降、前述の本実験に進む予定である。
3: やや遅れている
当初研究計画に記載の既報のようなNAFLD・NASHモデルでは脂肪肝は惹起されるが、線維化は生じないことが判明した。また、我々の考案した新規モデルでは高度脂肪肝並びに軽度の線維化が惹起されるが、未だ線維化は不十分であると考えられる。そこでさらにひとNAFLD/NASH病態に近い病態を作成するために種々の工夫を加え、プレリミナリーではあるが動物モデルの作成に至った。本実験モデル作成の過程は、最低1~1.5ヶ月単位の期間がかかるため、新規モデルの作成のために長時間を要した。現在、新規モデルを作成し、計画書に記載の実験内容を遂行中である。
より有効な実験モデルの確立できたため、当初の実験モデルを変更し、新規モデルの特徴を解析の上、当初研究計画に記載のごとくSAGの治療効果および線維化抑制効果の確認をはじめ、研究計画に記載の項目につき検討していく予定である。
当初研究計画に記載の既報のようなNAFLD・NASHモデルでは脂肪肝は惹起されるが、ヒト類似の肝線維化は生じないことが判明した。結果、我々は新規モデルを考案する必要があり、予備実験のための時間を要したため、研究経過のように実験が進んでいない。しかし現在すでに記述のごとく実験モデルは確立し、現在、研究計画推進に向けて実験を進行中である。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 1件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件) 図書 (2件)
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