研究課題/領域番号 |
18K08654
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
竹村 茂一 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (00322363)
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研究分担者 |
南山 幸子 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00362989)
久保 正二 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (80221224)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脂肪性肝炎 / 肝線維化 |
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の病態進展にマクロファージ(MΦ)は重要な役割を演じている。我々は様々な肝硬変モデル動物やMΦ細胞株を用いてSアリル化合物によりMΦの分極制御をすることにより肝線維化、肝硬変の進展抑制、線維素溶解促進ができることを報告してきた。近年、NAFLD/NASHが増加し、その進行度診断や病態制御などが重要な臨床課題となっている。一方、生理活性脂質セラミドは、炎症などの刺激を受けて増加することが知られているほか、申請者らの過去の研究では、特異的なセラミド分子種の増加が臓器線維化病変の一つである動脈硬化の病変部位で増加することを見出していることから、セラミドの分子種の違いがNAFLDの病態増悪に寄与すると考えている。本研究の目的はSアリルグルタチオン(SAG)によるMΦ分極抑制を介したNAFLD/NASH病態の進展抑制効果を検討することである。同時にMΦの分極に関与する生理活性セラミドを病態別に解析することで、NASH/NAFLDの病態増悪に関与するセラミド分子種を同定し、新規バイオマーカーとなり得るかを検討する。 2年次である令和元年度は前年に続きより臨床病態に即したラットNAFLDモデルの作成を確立した。モデルの詳細は発表前なので差し控えるが、高脂肪食に伴う脂肪肝と肝線維化を惹起することができた。解析の結果、肝臓におけるセラミド量を定量すると、種々の群間でセラミド総量に差は無いものの、今回の肝線維化モデルラットにおいて病態ごとに特定のセラミド分子種の割合が大きく変化することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画初年度では、研究計画に記載した既報のようなNAFLD/NASHモデルでは脂肪肝は惹起されるが線維化は生じないことが判明した。今回我々が考案したモデルでは脂肪肝並びに線維化が惹起されることを確立した。2年次である令和元年にはモデルは確立したもののセラミドの解析については十分には遂行できていない。現時点では脂肪肝に伴う肝線維化を呈するモデルラットを作成でき、それらの検討で肝臓中のセラミド総量に変化は無いが、特定のセラミド分子種の割合が変化することが示唆されたため、脂肪肝の進行によりセラミド分子種の代謝変化が起こることが予想された。次年度はNAFLDの病態増悪に関わるセラミド分子種について、総合的な評価を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年までの研究成果により有用なNAFLD/NASHモデルが作成でき、その際の肝セラミド分子種の変動が確認された。これらを踏まえて当初の研究計画に記載のごとくNAFLDの病態増悪に関わるセラミド分子種について、総合的な評価を行い、またSAGによる治療効果とセラミド分子種の変動の相関について解析する。 当初の計画案に記載した既報のNASH/NAFLDモデルでは脂肪肝は惹起されるが肝線維化は惹起されないという欠点が生じたため、新規のモデルに変更し検討し直した。そのため2年次にはモデルの確立とその評価のため少し遅れたが、現在はモデルも確立でき、当初の研究計画推進に向けて実験を進行中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画案に記載した既報のNASH/NAFLDモデルでは脂肪肝は惹起されるが肝線維化は惹起されないという欠点が生じたため、新規のモデルに変更し検討し直した。そのため2年次にはモデルの確立とその評価のため少し遅れたが、現在はモデルも確立できた。しかしセラミドの分析は一部のみ遂行できているのみで最終年度に当初の研究計画推進に向け手実験を進行中である。
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