研究課題/領域番号 |
18K08656
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
山下 継史 北里大学, 医学部, 教授 (70406932)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 腹水洗浄細胞診 / 胃癌 / DNA marker / メチル化 / CDO1遺伝子 / 微量癌細胞 |
研究実績の概要 |
胃癌手術症例において、術前インフォームドコンセントを行い400例の腹水洗浄細胞診検体収集を完了した。本研究は腹水洗浄細胞診検体中の微量癌細胞を研究者独自に開発した DNA markerを用いて検出しその結果を臨床病理学的因子と比較する前向き臨床研究である (UMIN000036413)。腹水洗浄細胞診検体を遠心機で沈査してDNAを抽出した。DNAを bisulfite 処理して、メチル化特異的 PCR (Q-MSP)を行った。Primary endpoint は CY1を腹膜播種と定義して感度を算出、Stage I胃癌を腹膜播種なしと定義して特異度を算出する。CY1症例の74.2%に DNA CY1を 確認し、pStage I症例を用いた診断特異性は 96.5%であった。また、CY1陽性例より高い頻度で DNA CY1が確認され (p=0.07)、CY0/DNA CY1症例の診断意義を詳細に解析した。また、同じ検体を用いてdroplet digital PCR法を応用した dd-MSPを用いて感度・特異度を新たに算出した。その結果、感度は 87.1%、特異度は88.8%であった。これまでの結果を現在論文に投稿中である。また、secondary endpointである予後との関連を調べ微量癌細胞検出と腹膜播種の出現についての関係を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検体収集が完了した時点で研究を開始しているため、順調に調べることが可能であった。微量癌細胞の診断として用いる Q-MSPや DD-MSPは再現性のある確実な方法であるために、実験における errorは少なかった(内部コントロールであるbeta-actinが検出されることはなかった)。また、今回の primary endpointは感度・特異度としているため必要な情報は手術後ほどなくして判明(CY1, pStage)するため算出は容易であった。secondary endpointの予後についてだけは一定の経過観察を待つ必要があるためこちらの都合で研究を進めることはできない。しかし、それは2本目の論文として約1年後に解析する予定であり研究の進捗状況は極めて順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
現在 primary endpointである DNA markerによる腹水洗浄細胞診の感度・特異度の論文を提出中である。seconary endpointについて観察期間中央値18か月の中間解析では微量癌細胞陽性症例は有意に予後不良である (p<0.0001)。中央値30か月の時点で再度予後解析を行い再発形式との関連も含めて今回の微量癌細胞診断法の新規診断法としての可能性について結論を出す。CDO1遺伝子のみで達成された感度・特異度をさらに向上させるかについて、HOPX遺伝子と Reprimo遺伝子メチル化解析を追加して診断能向上の可能性について検討を進める。また、次の前向き研究としてR0切除症例の進行癌に限定した微量癌細胞診断の臨床的意義についての研究を企画する。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在微量癌細胞検出の解析は CDO1遺伝子の Q-MSP, DD-MSPを行って解析が終了した。現在、その終了結果を解析中であるが、当初の感度100%、特異度100%の予想は達成できなかった。実際の臨床で使用するためにはそれに近づける努力が必要である。そこで、今年度は HOPX, Reprimo遺伝子などの独自に同定しているメチル化マーカーを加えて感度、特異度を上昇することができるかどうかを検討する。差額はその解析に使用したい。
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