研究課題
胃癌の最も代表的な進展形式である腹膜播種の診断は現在手術による腹水洗浄細胞診で行われている。病理学的な細胞診検査で陰性となった場合でも腹膜播種再発あるいはその他の再発進展を示して亡くなる患者は多くより感度の高い診断法が求められている。われわれは、癌特異的メチル化遺伝子としてCDO1遺伝子を同定し微量癌細胞診断への応用研究を行ってきた。これまでに、胃癌・食道癌・膵臓癌・大腸癌・乳癌などで癌特異的メチル化を確認し発表してきた。特に胃癌では、進行にともなって CDO1メチル化が増加し予後因子としても使用できることを明らかにしている。今回、CDO1遺伝子増幅を通常の conventional MSP法で微量癌細胞診断を行いその臨床的ポテンシャルについて検討した。ステージが進行するにつれて進行することが確認でき、CY1症例75%で陽性になり、特異度は97%であった。また、予後解析により微量癌細胞症例の予後は細胞診陽性例と同様に予後不良であることから、予後予測を含めたマーカーの臨床的ポテンシャルを確認でき発表できた (Harada H, Cancer Sci 2021)。digital PCRを用いることで感度の向上も確認できた。現在感度上昇による診断ポテンシャルについて検討中である。以上から、新規微量癌細胞診断法として本法の臨床的可能性が確認できた。今後は、CY0症例の進行胃癌の再発マーカーとなるかを新たに検討していきたいと考えている。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Cancer Sci. 2021 Apr;112(4):1644-1654.
巻: 112 ページ: 1644-1654
10.1111/cas.14850