研究課題/領域番号 |
18K08659
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 修司 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (30246566)
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研究分担者 |
本多 彰 東京医科大学, 医学部, 教授 (10468639)
宮崎 照雄 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60532687)
下田 貢 東京医科大学, 医学部, 教授 (90332999)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 胆道がん / 27-ヒドロキシコレステロール / エストロゲン受容体 |
研究実績の概要 |
27-ヒドロキシコレステロール(27HC)は、コレステロールを基質として、主に肝細胞と肺胞マクロファージで合成されるステロイドである。血液中を回り、多くは最終的に肝臓で胆汁酸に代謝されて排泄されるが、一部は27HCのままで胆汁中に分泌されている。27HCはエストロゲン受容体(ER)のリガンドになることから、乳がんの増殖・進展に関与することが報告されている。また、ERは肺がん、胆道がんなどにも発現していることが明らかにされている。以上の様な背景により、今回我々は、胆道がんの増殖における27HCの役割を解明することを目的に研究を行った。 まず初めに、ERを発現することが明らかにされ、我々が既に継代培養方法を確立しているヒト肺がん細胞を用いて、27HC添加方法(濃度、添加溶液等)と増殖能評価方法の確立を行った。さらに、27HCの添加によって肺がん細胞の増殖が有意に促進することも確認した。引き続き、同様にERの発現が認められる培養ヒト肝外胆管がん由来の細胞株TKF-1を入手し、継代培養方法を確立した。また、27HCの添加によってTKF-1の増殖が有意に促進することも明らかにした。 次に、in vitroでTKF-1の増殖促進を引き起こした27HCの添加濃度が、生理的な胆汁中の27HC濃度の範囲内にあるか否かを明らかにするために、胆道がん患者の手術時に得られた胆汁を用いて27HCの濃度を測定したところ、100-900 nMの濃度であり、生理的な27HCの濃度でがん細胞の増殖が促進されることが証明された。以上より、胆汁中27HC濃度は、胆道がんの進行に影響を与える因子のひとつである可能性が示唆された。
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