研究課題/領域番号 |
18K08667
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中村 透 北海道大学, 医学研究院, 助教 (70645796)
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研究分担者 |
浅野 賢道 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (10756688)
平野 聡 北海道大学, 医学研究院, 教授 (50322813)
土川 貴裕 北海道大学, 大学病院, 講師 (50507572)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 膵癌 / 分子標的治療 |
研究実績の概要 |
C16orf74のN末端14アミノ酸を部分的に欠損した変異体を作成し、免疫沈降でダイマー形成に重要な部位を確定した。結果的にN末端番目と14番目のシステインが、ダイマー形成に重要であることが判明した。C16orf74のN末端15アミノ酸と同一のペプチド配列と細胞膜透過性シグナルを組み合わせた11R-DB (dimer blocking) peptide を作成し、C16orf74のダイマー阻害実験を施行したところ、ペプチド用量依存性にダイマー阻害が観察された。また、膵癌細胞株に対する11R-DB治療実験を施行したところ、WSTアッセイによる細胞増殖抑制効果を得た。マトリゲルインベージョンアッセイとHUVEC細胞を用いた血管透過性の検討では、11R-DB治療群で浸潤能ならびに細胞透過性の抑制を示した。Wound healingアッセイでも、同様に11R-DB治療群で遊走能の低下を来した。 細胞骨格関連蛋白との細胞免疫染色ならびに免疫沈降法による検討から、C16orf74と相互作用する新たな分子としてインテグリンαVβ3やIntegrin linked kinase (ILK)を同定した。細胞形態の観察から、C16orf74はインテグリンαVβ3やILKを介して、浸潤能に影響していると考えられた
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成31年度に予定していた下記2つの実験はおおむね順調に施行できた。 (1)ダイマー阻害部位の同定が特定され、同部位を阻害する細胞膜透過性ペプチドを作成し、膵癌の増殖阻害、浸潤阻害効果をin vitroならびにin vivoで確認した。 (2)新たな結合蛋白としてインテグリンαVβ3とILKを同定した。
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今後の研究の推進方策 |
現在の細胞膜透過性シグナルはポリアルギニンを使用しているが、全ての細胞に取り込まれるという弱点がある。最近、腫瘍血管(新生血管)内皮細胞や腫瘍間質細胞に効率的に分子を取り込ませるペプチド配列が報告され、RGDモチーフ(RGD4C)やiRGD (CRGDK/RGPD/EC)を用いたドラックデリバリーが注目されている。これらの配列をC16orf74阻害ペプチド配列に結合し、膵癌細胞導入効率ならびに増殖抑制効果を評価する。 ①C16orf74阻害ペプチドに蛍光ラベルを行い(Alexsa594(red))、RGD4CまたはiRGDシグナルによるCPPの膵癌細胞の導入効率と細胞浸潤・増殖抑制効果を検討する。 ②ヒト膵癌株の同所移植モデルマウスを作成し、同CPPを腹腔内あるいは静脈内投与したのち、腫瘍内への取り込み率を蛍光顕微鏡で評価する。ルシフェラーゼを導入した膵癌腫瘍の系は確立済みで、ペプチドに蛍光ラベルすることで、腫瘍(green)とペプチド(red)のmargeにより腫瘍内への取り込み効果を評価する。 In vitro/in vivoで従来のポリアルギニンシグナルペプチドと比較し、取り込み効率、投与量および腫瘍縮小効果を検証する。
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