研究課題/領域番号 |
18K08669
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
唐澤 秀明 東北大学, 大学病院, 助教 (30547401)
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研究分担者 |
内藤 剛 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (50291258)
大沼 忍 東北大学, 大学病院, 助教 (70451565)
中山 啓子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (60294972)
舟山 亮 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20452295)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 大腸癌 / マイクロエクソン |
研究実績の概要 |
マイクロエクソンは非常に小さなエクソンである。ヒトの神経組織や筋組織で高発現しており、選択的スプライシングによりその発現量が調節されている。最近、マイクロエクソンのスプライシングパターンの異常が自閉症スペクトラム障害を引き起こすことが報告され、マイクロエクソンのスプライシング制御と疾患との関わりが明らかになった。しかしながら、その他の疾患、特に癌におけるマイクロエクソンのスプライシングパターンの変化や、マイクロエクソンのスプライシング異常が癌の進行に果たす役割はほとんど研究されていない。大腸正常組織/大腸癌組織の臨床検体を用いたRNAシークエンスによるトランスクリプトーム解析と実験的検証を行い、スプライシングに差異のあるMEsを同定し、大腸癌の発生や進展に関わる生物学的機能やその制御機構を明らかにすることを目的とした。In silicoの解析により、スプライシングに差異のあるMEが複数抽出された。これらは異なるデータセットで同一の傾向があった。これら候補MEは大腸癌細胞株、臨床検体でもスプライシングの差異、発現量に同一の傾向を認め、In vitroでも再現性があった。これらの近傍イントロン領域の一部は進化的保存度が高かった。また、統計的に濃縮された6-8塩基の配列をコンセンサス配列に持つRNA-binding proteinをスプライシング候補タンパクと考え、lentivirusを用いたRNAiによる発現抑制細胞株とcDNAによる過剰発現大腸癌細胞株を樹立し、機能獲得/欠失実験を行なった。その結果PTK2遺伝子に含まれるMEのスプライシングがスプライシング因子RBFOX2、PTBP1により制御される事が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ実験計画通り進んでおり、大腸癌の発生・進展への関与が考えられるマイクロエクソンが抽出できている。今後さらに機能解析を進める事で、新たな知見が得られると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
PTK2遺伝子は癌関連タンパクであるfocal adhesion kinase, FAKを翻訳していることからMEのスプライシング変化はキナーゼ活性や基質との蛋白質間相互作用に影響し大腸癌の発生や進展と関係していると考えられる。今後はFAKとその基質について抗リン酸化抗体を用いたImmunoblottingなどを行い、MEの生物学的機能を検証していく。
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