研究課題
2015年度の日本における胃癌の死者数は49,129人(男32,206人、女16,923人)で、死亡者数の多い疾患である。とりわけ腹膜播種は胃癌の転移再発形式として最も頻度の高く,播種が進行すると癌性腹膜炎に伴うイレウスや水腎症,腹水貯留を併発し、全身状態を著しく悪化させる。その治療に関しては、近年、胃癌全体に対する全身化学療法の効果が期待できるようになったが、薬剤の腹膜移行性が不良であることから胃癌腹膜播種に対する標準的治療は存在していないのが現状である。近年、腹膜切除+腹腔内温熱化学療法の有用性が報告されつつあるが、侵襲性が高く術後の生活の質も著しく低下することから、治療適応を決めるあらたなバイオマーカーの確立が急がれる。本研究は、胃癌腹水洗浄水ならびに胃癌術前、さらには術中血液におけるEpiCAM陽性細胞を採取・培養し、生着・非生着の有無を培養解析することで、その臨床的意義とmolecular profileを加えることで、腹膜播種・遠隔転移形成のあらたな機序を解明する。また同定したmolecular profileを用いて、腹膜播種に対する温熱化学療法や積極的な術後化学療法を行う上でのdecision making biomarkerの確立を目指すことを目的とするTwo way approachを行い、現在、極めて予後不良な経過をたどる胃癌腹膜播種転移に苦しむ胃癌患者の予後・QOLの向上をめざすことを目的とする。本年度は、この2年間で抽出した胃癌組織や血清からのDNAならびにRNAを用いて、DNAメチル化アレイならびに遺伝子発現アレイを提出し、腹膜播種陽性症例で異常メチル化しているCpG island/異常発現している標的分子を生物統計学的解析で同定中である。
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