研究課題/領域番号 |
18K08680
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
吉野 茂文 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (60294633)
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研究分担者 |
武田 茂 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50403671)
飯田 通久 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (50554797)
兼清 信介 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教(特命) (80555730)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 胃癌 / 抗PD-1抗体 / 効果予測 / 免疫担当細胞 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、胃癌患者におけるNivolumabによる免疫療法の効果予測を行うことである。免疫担当細胞の機能に主眼を置いて新たなバイオマーカーの検索、すなわち細胞傷害性 Tリンパ球、ヘルパー Tリンパ球、抗原提示細胞における免疫チェックポイント分子の解析を末梢血と腫瘍局所で行い、Nivolumabの効果との関係を検討することが目的である。これらの研究目的と当初の研究実施計画に基づき以下の研究を実施した。 切除不能・再発胃癌症例10例に対して、3次治療として Nivolumabによる免疫療法を施行した。これらの患者から治療開始前と開始後2、4、6、8週目、その後は4週おきに治療が無効となるまで末梢血を採取し(各15ml)、末梢血単核球(PBMC)を分離し凍結保存した。また10例のうち癌性腹水症例2例においては、治療前後の腹水中単核球も分離し凍結保存した。10例中2例において Nivolumabの治療効果が認められ、8例においては無効であった。 これら保存してあるPBMCを用いて、フローサイトメトリーにより以下の測定を行った。CD4, CD8における PD-1, Tim-3, Ki-67の発現、抗原提示細胞 (CD14)における PD-L1の発現、Treg、myeloid-derived suppressor cells (MDSC)の割合を測定した。これらのパラメーターは、治療前と治療後2~6回分のPBMCにおいて測定し、また腹水中単核球においても治療前と治療後2~6回分のPBMCを用いてこれらのパラメーターを測定した。 また5例の症例においては胃癌原発巣あるいは転移組織におけるMicrosatellite Instability (MSI) の解析も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
10例の切除不能・再発胃癌症例に対して、Nivolumabによる免疫療法を施行することができ、2例の有効例と8例の無効例が確認できた。しかもこれら全例において治療前と治療後の末梢血単核球(PBMC)を分離し凍結保存できた。 10例の保存してあるPBMCを用いて、計画通りフローサイトメトリーにより CD4, CD8における PD-1, Tim-3, Ki-67の発現や抗原提示細胞 (CD14)における PD-L1の発現、Treg、myeloid-derived suppressor cells (MDSC)の割合が測定できた。また腹水中単核球においても治療前と治療後のPBMCを用いて同様のパラメーターが測定できた。さらには5例の症例においては、計画通り胃癌原発巣あるいは転移組織におけるMicrosatellite Instability (MSI) の解析が行えた。
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今後の研究の推進方策 |
切除不能・再発胃癌症例に対する、Nivolumabによる免疫療法をさらに症例を増やし継続していく。これまで同様、治療前と治療後の末梢血単核球(PBMC)を分離し凍結保存する。 PBMCを用いてフローサイトメトリーにより CD4, CD8における PD-1, Tim-3, Ki-67の発現、抗原提示細胞 (CD83)における PD-L1の発現、Treg、myeloid-derived suppressor cells (MDSC)、また CD4, CD8の IFN-γ産生能も解析する。さらには切除した胃癌組織や生検による腫瘍組織を凍結保存しておき、腫瘍局所の免疫細胞の解析も行う(免疫組織染色)。これらのパラメーターと治療効果の関係を検討し、Nivolumab有効例のバイオマーカーを検索していく。また、胃癌組織におけるPD-L1の発現(免疫組織染色)と Microsatellite Instability (MSI) の解析も合わせて行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は少額であり、次年度に実験試薬として使用予定である。
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